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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

すべてがオンラインになる 〜 オンライン学会に本当に必要だったもの

f:id:yumu19:20200509152631j:plain 会議とかイベントとかいろんなものがオンラインになっているけど、すべてがオンラインになると、居住地というのはただの属性のひとつになって、特に重要な情報ではなくなるんだな。知っておくと便利だけど、知らなくても特に問題ない。出身地とか出身大学とかと同程度の情報。「なんで高い家賃払って東京に住んでるんだ・・・」と思う人も増えてきましたよね。

居住地に関して、タイムゾーンというのは重要情報なんだけど、正確には、タイムゾーンというよりも、いつ起きていつ寝ているのかという情報が重要なのだな。同じタイムゾーンでも活動時間違うひとたくさんいるので、居住地によらずにタイムゾーンを自分で選択して他の人へ表明できるとみんな幸せになりそう。睡眠相後退症候群 とか。さらに、LEDで人工太陽を作れば、意図的に自分のタイムゾーンを変更することもできそう 。そもそも今われわれが夜間でも活動できるようになっているのは、電灯という人工太陽のおかげ。

とか考えていると、いま、オンライン国際学会に参加するために世界各地の研究者達が夜更かししたり早起きしたりして開催地(だったはずの場所)に合わせて生活しているのが、すごいナンセンスな気がしてきた。ここは、非同期コミュニケーションでなんとかするところなのでは。同期コミュニケーションによって得られる情報量が圧倒的に増えるのであれば検討の余地があるけど、現状のオンライン学会で同期コミュニケーションができて嬉しいことは、せいぜい口頭で質問できるくらいだよなあ。それならテキストチャットとそんなに変わらないし、掲示板(BBS)でも立てておけばいい。英語非ネイティブにとっては口頭よりもテキストのほうがコミュニケーションとりやすい。

オンライン学会の大きな課題として「休憩時間の雑談ができない」というのがよくあげられるが、掲示板をうまく活用すればこれを解決できそうな気もする。発表者と聴講者の一問一答のコミュニケーションだけであればSli.doみたいなものでもいいのだけど、継続的な議論や聴講者同士のコミュニケーションができない。Slackはいまではスレッドも立てられるので機能的には近いかもしれないけれど、議論に加わる人はSlackにjoinしないといけなくて、joinする前は中身が見れないので、中でどういう議論が交わされているのか知らない状態でjoinしないといけなくてめちゃくちゃハードルが高い。 URLを知っていれば見れるという掲示板の障壁の低さは、Slackでは実現できない。

そもそも、掲示板は最近ほとんど見かけないが、何のサービスに取って代わられたんだろう。 コミュニケーション目的であればSNSで代用できるけど、掲示板は人ではなくトピックに集まることもある。現状だとFacebookグループかSlackか。でもそれだと実名やアカウントに結びつくので、匿名の発言はできない(匿名の良し悪しはおいておいて)し、知人以外にアカウント知られたくなかったりするだろうし、ハードル高い。いま、5chのような巨大サービス以外で掲示板システムが残ってるのって Hacker News くらいしか思い浮かばないな。

掲示板というのは最初はネタで書いたのだが、オンライン学会に必要なものは掲示板という古のサービスだったのでは、と本気でそう思うようになってきた。