photo credit: swisscan via photopin cc
自分の頭の中だけにあって誰にも伝えないより、こうやって書いておけばだれか一人だけでも役に立つかもしれないので、かなり雑だけど思っていることを書きだしてみる。理系院生を想定してます。
はじめに
はじめからこんなことを言うと身も蓋もないかもしれないけど、
新卒が「自分が一生やりたい仕事が見つかった」というのは、離乳食が終わったばかりの2歳児が「カレーの王子様は世界で一番おいしい食べ物である」というのと同じぐらい説得力がない。知っている選択肢の幅が極めて狭い時点でベストな選択肢が見つかると思う事に無理がある。
— 古賀 洋吉さん (@yokichi) 8月 14, 2011
どんなにがんばって調べても、全ての企業を知ることはできない。そもそも、新卒採用をしていない企業も山ほどある(というか、ある程度の規模までは新卒採用をしていないのが当たり前)。人生には時間的・空間的な制約はつきものなので、自分が選択しなかった方の可能性をくよくよ悩むのではなく、ポジティブな割り切りは必要。
企業の見つけ方
自分の場合、研究として宇宙プラズマのシミュレーションをやっていた。就活の最中、これがどういう仕事に役立つだろうと考えたとき、IT系の他に、車体設計などの流体シミュレーション関連や宇宙関連で人工衛星やその運用システムの設計くらいしか思い浮かばなかった。 しかし、就職してから周りを見渡すと、就活の時には何の役にも立たないと思っていたプラズマを学んだ経験が、実は非常に多くの分野で役立つということに気づいた。
- 電子機器における電磁界設計
- 半導体製造プロセス改善、製造装置設計
- 原子力発電装置設計
- レーザー装置設計
他にも役立つ分野はまだまだあるはず。これらは、就活の時には思いもしなかったものばかりだ。 ここでは宇宙プラズマの研究が「プラズマ」がキーとなって関連分野を発見した、という例として挙げた。どの分野の研究でも、専門性を活かせる産業分野がきっとあるはずである。
〜
自分の専門性はどのような分野で活かせるのか。最も手っ取り早い調べ方は、人に聞くこと。先輩や企業のリクルーターをつかまえられる機会があれば、話を聞いてみる のがいいと思う。とはいえ、的確なアドバイスができる人が必ずしも周りにいるとは限らない。 そこで個人的にお勧めの方法は、学会をチェックすること。自分の専門に関連しそうな分野の学会の予稿を眺めて、どういう研究分野があるのか、どういう企業が参加しているのかを調べる。 これは普段から企業が参加するような学会に参加している人達にとっては極めて当たり前なのかもしれないが、分野によって(特に理学系)は企業が参加しない学会が普通だったりするので。
理系で王道な研究開発職を見つけようとすると、こんな感じですかね。最近だと、 twitter で気になる分野で活躍してるっぽい人をフォローしていけば芋蔓式に人や情報に辿り着ける気がする。
あと、だいぶ狭い話になるが、宇宙関連の仕事に就きたいと思ったら
宇宙を開く 産業を拓く 日本の宇宙産業 Vol.1 (日本の宇宙産業 vol. 1)
- 作者: 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
- 出版社/メーカー: 日経BP出版センター
- 発売日: 2010/04/08
- メディア: 大型本
- 購入: 3人 クリック: 103回
- この商品を含むブログ (3件) を見る
の巻末の「日本の主な宇宙関連企業一覧」が素晴らしくよくまとまっているので、ぜひ参考にして欲しい。JAXAに就職する以外にも、宇宙に関わる仕事に就く方法はたくさんある。衛星の本体パーツや観測機の製造、ロケットの製造、そして通信・管制システムの構築にはたくさんの民間企業(三菱重工やNECのような大企業だけでなく、中小企業も含めた本当にたくさんの企業)が関わっている。
情報収集
投資家情報
興味ある株買って株主総会に出席する、というのが一番いいと思う*1けど、気になる企業の単位株を揃える資金もそうそう無いと思うので、そういう時は各企業の IR (投資家情報) のページに行くと総会や四半期報告会のプレゼン資料を見ることが出来る。
就活生向けセミナーではその企業の事業分野について画一的に紹介されるけど、IR では今どの分野に力を入れていて、これからどの分野を伸ばしていきたいのかがよくわかり、自分の興味ある分野がその企業においてどういう立ち位置なのかを知ることが出来る。
転職情報
新卒就活生でも、転職情報は役に立つ。まず、単に会社についての情報がたくさん得られる。加えて、転職希望者の「理由」「きっかけ」についてもたくさん知ることができて、会社選びの参考になる。
就活の際に一番気になるのが年収だと思うのだけれど、あまり情報は出ていない。そこで、このサイトがおすすめ。
働いてお金をもらうのに、いくら貰えるのか全然知らされないなんて、どうかしてるぜ!新卒の初任給なんて、学部卒20万、修士卒22万とかでどこも大体一緒だし。平均年収もそんなに参考にならない。平均はいいから分布を出せ!と言いたくなる。これ、日本だけなのかなー。 年収や職場環境の情報は 2ch にも出てるけど、真っ当な情報と推測で言っているんじゃないかという情報が混在してるので注意。
どうやって決めればいいか
この先の自分の興味なんてどうなるかわからないし、予測なんて絶対できないので、現時点での自分の気持ちに正直になって、やりたいと思うことをやればいいんじゃないかな。別のやりたいことができたらその時点でまた考えよう。
この先やりたいことがなんとなく固まってるのなら、自分の一番やりたいことではない道に戦略的に進むのもありかもね。
例えば、「一人家電メーカー」 B-size の八木さんは、一人で家電メーカをやるために「電子工学」「機械工学」「デザイン」を全て学ぶことが必要と考え、専門とは違う機械工学系に就職した。
- D89クリップ(54):手軽に家電が作れる時代に小さな会社だからできること (2/3) - @IT
製品を作るには、電子工学、機械工学、デザインができればいいと分かったものの、これらをまとめて勉強できる学部が存在しなかった。そこで、最初に電子工学を選択し、ロボットの回路を組んだりしていたそうだ。 就職するときに機械工学系の職種を志望したが、なぜ電子工学ではないのかと門前払いを受け続けた。が、そのような思いを受け入れてくれた富士フイルムに入社し、医療機器の筐体設計を担当することになった。
面接で何を話せばいいか
理系なら、分野が違ったとしても、自分の研究内容をちゃんと説明できることが一番重要な気がする。「前提条件を必要十分に伝えられる」「問題意識とその解法を完結に説明できる」と、研究開発職の適正あるって思われるよねたぶん。 あとは、図があったほうがいろんなことが説明しやすいと思うので、プレゼン資料は印刷して紙で持ち歩いておくのがよいと思う。「資料用意してきて」とは言われてなくても、「資料用意しないで」とも言われないはずなので。
「意識の高い就活生」について
意識は高いに越したことないので、(無理しない程度に)高く持ちましょう。 意識が高いことを嘲笑されるような雰囲気の原因は、「意識の高い就活生」によく似た「意識の高い就活生()」と混同されるからだと思ってる。後者の特徴として、「行動が発言に伴っていない」とか「意識の低い人をdisる」とか。本当に意識の高い人は他人をdisったりしないよね。直接disらなくても、自分の理想を掲げて「全員がそれを目指すべきだ!」とか思ってると、それに沿わない人を無意識的に排除することになる。理想を掲げることは悪くないけど、いろんな人がいていいじゃない。
まとめ
なんかだいぶ偉そうに、そして無責任な感じで書いてしまったが、まあこんな考えの人もいるのか〜、くらいの感じで軽く参考にしてもらえれば。
面接の結果も、タイミングによって変わる(枠が決まってたりすると、どんなに優秀でもちょっとの申し込みの差でダメだったりする)し、そもそも面接官も人間なので判断にブレがあったりするし、仮に落ちてもあまり深く気にせず運が悪かったと思って、とにかく絶対に自信をなくさないでください。
「そんなこと言ってても、どうせ東大卒だったから余裕だったんだろ?」
と思ってる人がいるかどうか知らない(たぶんいないと思う)けど、自分はメーカーを中心に8社受けて7社落ちた(ちなみにリーマンショック直前の2008年卒なのでわりと景気よかった時期)。まあ、自分がダメダメだったというだけの話である。
参考
- プラズマ屋さんの就職先 - yumulog | 社会人博士の日記
- 大企業で働くということ - yumulog | 社会人博士の日記
- 就活のための斜め上の企業情報収集法 - yumulog | 社会人博士の日記
- 大きな会社と小さな会社のどっちで働くべきか迷っている人へ - GoTheDistance
- 就活生に答えてみた、ベンチャー企業で働く理由と選び方 - UEI shi3zの日記