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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

おうちハックはどこから来て、どこへ行くのか

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本エントリは おうちハック Advent Calendar 2016 の25日目です。おうちハックAdvent Calendarは今回で3年目なのですが、3年連続ですべてのカレンダーが埋まりました!記事書いていただいたみなさん、読んでくださったみなさん、ありがとうございます!今年はhomebridgeとMESHが人気だったかな。

私は、いままであまりまとめる機会がなかった「おうちハック同好会」のはじまりや、活動の動機などについて書いてみました。ちなみに、「おうちハックはどこから来て、どこへ行くのか」というタイトルは、先日のMashup Awards FESTAのコミュニティ対抗LTの発表タイトルとしてつけたものだったのですが、LTではあまり深い話をしなかったので、このタイトルに正しく沿った話をしたいなあと思い、このエントリのタイトルにしました。

はじまり

まず、「おうちハック同好会」というのは、Facebookグループ です。なので、会員や会則が定められているわけではありません。それで、そのFacebookグループができた経緯が、少しだけややこしいのですが、ちゃんと説明します。もともとこのグループは「スマートハウスハッカーズ」という名前で、ソニーCSLの大和田さんが主催している同名の ハッカソン の参加者グループとなっていました。そのグループの人数が100人を超えた時に、これからの方針などの意見募集してたので、LTをやる「おうちハック発表会」という発表会をやってはどうかと提案しました。

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そして、2014/08/31に第1回おうちハック発表会を開催し、その後、おおむね4ヶ月に1度のペースで開催しています。第2回の開催直後に、Facebookグループの名前も現在の「おうちハック同好会」となりました。

動機

はじまりは以上のようなきっかけだったのですが、じゃあなんで発表会をやろうと提案したかというと、 @ さんのブログを見たことがきっかけでした。

自腹でいろいろなガジェットを買い揃え、APIを組み合わせて自分で実装しているこの記事を見て、ほんとうにすごいなと思いました。研究室や実証実験住宅でホームオートメーションを構築している例はありますが、仕事ではなく完全に自分のモチベーションによってやっているのがすごい。そして、実際に自分の住んでる家で使って得られる知見というのは、研究レベルでは得られないものなのだろうなと思いました。凹さん以外にも、こういうことをやっている人をたまに見かけるので、そういう人達を集めて、自分の家のカスタマイズを紹介し合うイベントをやったら面白いだろうなと妄想してました。

ニコニコ学会βや、その分科会の宇宙研究会、そしてSpaceApps(宇宙ハッカソン)に参加したり企画したり運営したりしていたので、同じ興味を持った人達が集まるイベント自体は楽しくなるだろうなと算段がつき、また、イベントの準備自体もある程度目処が付いてました。大事なのは名前。家電を自働化したりして家を便利にするのは、「スマートハウス」「スマートホーム」という呼び方がありましたが、大手の家電メーカーや住宅メーカーが積極的に使っているイメージがして、そうではなくて個人が内発的な動機で行っているという雰囲気を出したかったのと、ガジェットやプログラミングなどのいわゆるIT技術に限らずホームセンターや100円ショップで買える部材を活用するものも歓迎したかったので、そういう諸々をひっくるめて「おうちハック」という造語を生み出しました。また、最初はおうちハック"研究会"という名前にしようかとも思ったのですが、新規性などは全く気にしないでただ単に自分のやったことを披露する会にしたいなあと思っておうちハック"発表会"という名前にしてます。

おうちハック同好会の2年間

最初のおうちハック発表会をやってから2年ちょっとが経ちました。発表会に加え、カルカルでおうちハックナイトというイベントをやったり、Developers SummitやMashup AwardでLT大会を開催したり、最近はもくもく会もやっています。Advent Calendarも今年で3年目。関西おうちハックという派生グループもできました。そして、本も出ました。*1

Raspberry Piではじめるおうちハック ~ラズパイとIoTでつくる未来の住まい~

Raspberry Piではじめるおうちハック ~ラズパイとIoTでつくる未来の住まい~

おうちハック発表会を始めた2014年はちょうどhueやIFTTTがアーリーアダプターに届きだした頃ですが、そこからまさに世の中的に「IoT」が大流行し、猫も杓子もIoTという感じでいろいろなサービスやデバイスが生まれてきました。国内ではmyThingsというサービスも生まれ、連携するサービス・デバイスが増えました。クラウドファンディングで提案されていたような製品も続々と市販されてきています。そのひとつにMESHがあり、MESHの登場は結構大きいなと感じていて、Maker Faireのような展示イベントでもよく見かけますし、今回のAdvent CalendarでもMESHを使った記事がたくさんありました。IFTTTはWebサービス・ガジェットをつなげましたが、MESHは物理世界をつなげることができたデバイスかなと思います。MESHのプロジェクトリーダー萩原さんには第4回おうちハック発表会で招待講演して頂きました。

そして、いつの間にか「おうちハック」という言葉が定着し、おうちハック同好会と関係ないところでも普通に使われはじめていることにも気づきました。普段からTwitter「おうちハック」でエゴサしてるので実感あるのですが、一度検索結果を保存してデータで示したいなと思ってます。今年のAdvent Calendarでも、おうちハックAdvent Calendar以外のエントリでおうちハックという言葉をよくみかけます。今後もっと流行って流行語大賞でも取ったらたぶん僕にもらう権利があるので、ぜひ流行らせてくださいw

おうちハックはどこへ行くのか

まずおうちハック同好会については、これまでと同様に発表会などを開催していきたいなと思います。あとは、このエントリを書いてて思ったのが、これまでの発表会の動画がアーカイブされていなくてもったいないので、この辺の整理も進めていきたいなと思いました。

今年の5月に おうちハックの現在と未来 というタイトルで発表する機会を頂き、少しまとめたのですが、おうちハックの未来を話をする時によく引用するのが @ さんの Squamaという研究です。これは、透過度を変えられる素材を用いて窓(いずれは建築物全体)をプログラマブルにするというものです。

Squama: A programmable window and wall for future physical architectures (UBICOMP 2012 video) from rkmtlab on Vimeo.

こういう素材が実用化され実際の建築に組み込めるようになれば、部屋のカーテンを変えたりPCやケータイの壁紙を自分のお気に入りの画像にするような感覚で、誰でもおうちハックをする時代になると思います。おうちハック同好会では、その来る時代に向けた知見や課題の蓄積や共有を先取りして、そういう時代が来る時を1日でも縮められればいいなと思っています。

宣伝

コミケで「おうちハック同人誌 Vol.1」という同人誌を出します!1日目の12/29(木)に 西み38b ブースです。1冊500円です。買ってください!

  • Raspberry PiとOpenECHOで作るIoT機器』 一石アンプ @
  • 『我が家のおうちハックの現状』ぼへみあ
  • Arduinoで自動水やり器を作る』むらさき @
  • 『おうちでLED野菜工場を実現したい(してない)』 辻順平 @
  • 『介護ベッドのハックと部屋中の機器の自動化について』 でーぜろ @
  • 『部屋の灯りが消えたら自動でGet Wildを再生してGet Wild退勤する』せにょーる @
  • 『色んなガジェットを組み合わせた部屋を作ってみたので色々と考察してみた』 凹 @

編集部は はーたん、塚谷さん、湯村の3人です。

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*1:僕は著者ではなく、大和田さん、川上さん、小菅さんが書かれてます

Mashup Awards 2016 参加まとめ #MA_2016

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毎年楽しく参加しているMashup Awards(MA)。昨年は「寝返りブロックくずし」でおバカアプリ部門賞を受賞しましたが、今年は「年収800万円以下でも寿司が止まって見える装置」「博士に送る」「すべてが寿司になる」の3作品を応募しました。

コミュニティLT

今回、初の試みとして、Mashup Awards FESTAが開催されました。決勝プレゼン大会と表彰式に加え、プレゼンテーション大会や展示イベントなどを半日かけてやるイベントです。寺田倉庫の元々倉庫だったイベントスペースに骨組みを組んで、観客から360°囲まれたステージ。これまでいろんなイベントで登壇してきましたが、こんなステージは初めてで、とにかくかっこよかったです。

そのプレゼンテーション大会のひとつとして、コミュニティ対抗LT大会が開催されました。「IoT縛りの勉強会! IoTLT」「TMCN(Tokyo MotionControl Network)」「Mashup Awards」そして「おうちハック同好会」の4コミュニティの対抗戦です。

おうちハック同好会は以下のメンバーで戦いました。(リンクからYouTubeの講演動画に飛びます)

対抗戦の勝敗は、聴講者の投票で決めます。優勝は、IoTLT!先鋒・中堅ではそれぞれおうちハックがトップを取ったのですが、大将の「ギャル電」にすべて持っていかれました。パフォーマンスも内容も本当に素晴らしいプレゼンでした。面白すぎた。

対抗戦よかったです。これをきっかけに、来年には「IoTLT×おうちハック」「TMCN×おうちハック」「MA×おうちハック」などのコラボイベントができたらいいなー、と思っています。

寿司枠

僕が投稿した作品「年収800万円以下でも寿司が止まって見える装置」に触発されて、お寿司に関連する投稿に「寿司」タグがつけられ、計13作品が投稿されました。さらに、FESTAの展示後半が「寿司枠」(寿司関連の作品の展示枠)になりました。

この盛り上がりを受けて、「寿司部門賞」を設置し、Webでの投票で受賞者を決めました。

なんかよくわかんないけど、盛り上がってよかったです。あと、何人かの方に「最近寿司が流行っているようですが・・・」と声かけられましたが、それ勘違いですよ!寿司流行ってない!!MA内で盛り上がってるだけ!!!

感想など

  • 事務局をはじめとした運営の皆さん、今年も本当にありがとうございました。FESTAを開催したり、カルカル移転後の初開催ということで、いままでと違った雰囲気で楽しめました。特にFESTAでの作品展示がとてもよかったです。
  • 「年収800万円以下でも寿司が止まって見える装置」が2ndステージでトップ10まで残りましたが、ファイナル進出ならず。もともとこの作品で残れるとは思ってなかったのですが、ファイナルで発表できないのは寂しいですね。
  • 優秀賞を受賞しファイナルに進んだ「なんとかめーかーりある」は、明大FMS2年生のチームの作品。以前からFMS生に「Mashup Awards出しましょう」と呼びかけてきた ので、これはとても嬉しかった。来年もぜひFMSから作品出しましょう。
  • 最優秀賞は、栗原さんの srt.js 。 Webや現実世界を動画と連動させることができるフレームワークで、これは本当にすごいなあと思ってMA以前から注目してました。WISSの発表 も見てました。srt.jsを使ったハッカソン/コンテストも開催されるとのことで、これもすごく楽しみです。 帰りの飛行機で、 srt.js をどう使ったら面白いか脳内アイデアソンを繰り広げてました。
  • MAは最優秀賞とるまでやめられないとかねがね思っていましたが、尊敬する研究者である栗原さんが最優秀賞とったことで、これはもう絶対にとらなければいけないなと思いました。いままでは「ABProドリブン」で作品をつくってましたが、来年は「MAドリブン」で何か作りたいなと思いました。
  • (´-`).。oO(研究もちゃんとします・・・)

ぼくとわたしとニコニコ学会β(前編) #ニコニコ学会

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2011年12月から始まったニコニコ学会β。設立時から「5年で解散します」と宣言していた通り、昨年12月の第9回が最後のシンポジウムとなり、今年12月で解散となりました。ちょうど本日、実行委員会解散式が行われました。

この5年間、自分がニコニコ学会βにどう関わっていたかという、個人的な記録です。 第9回シンポジウムのマッドネスマックスで発表した のですが、3分では全然足りなかったので、改めてblogにまとめました。

タイトルの元ネタは 時報のメロで、「ぼくとわたしとニコニコ動画」【ヒャダイン】 by ヒャダイン 歌ってみた/動画 - ニコニコ動画 です(念の為)。

ちなみに、ニコニコ学会βが始まる前は、江渡さんの存在は知っていたけどどういう人なのかあまり知らなくて、「サッカーW杯のときにTwitterのアイコンを(カメルーン代表の)エトーにしていた人」という印象が一番強く残っていました。

第1回シンポジウム in ニコファーレ (2011/12/06)

ということでスポンサー枠で運良く現地で見ることができたのですが、その後のニコニコ学会βの代名詞ともなる「研究100連発」と「研究してみたマッドネス」が本当に面白かった。その中でも、一番衝撃だったのが @ 先生の発表。ニコニコ学会βのちょっと前に当時宮下研の @ と知り合っていて、彼の指導教員ということでお名前だけ存じ上げていたのだけど、情報科学の研究者なのにカビの生え方を調べる研究やシダ胞子の適用限界についての研究を発表していて、なんなんだこの人は!?!?と思った。

第2回シンポジウム in 超会議 (2012/04/28-29)

第1回シンポジウムを見たときの衝撃がすごくて、これは見てる場合じゃない!参加しないと!と思い、第2回シンポジウムではポスターセッションが新設されたので、マッドネスは敷居が高いけどポスターならということで申し込むことに。ネタがなかったけど、何か出したいと思って、枕にシリコンキーボード敷いて寝返りセンサにするというネタを無理やりひねり出す。実装したのが申し込み締切前日、シリコンキーボードを秋葉原で買って動画を撮影したのが申し込み締切当日とかだった気がする。とにかくギリギリだった。

ポスター発表はいろんな意見がもらえてすごく楽しかった。そしてコメントリアルタグ(ふせん)がすごくよかった。すでに言われつくされてるけどあのシステムは素晴らしい!ニコニコ超会議自体がこれが第1回目の開催で、それに参加できたというのも今思うとすごくよかった。

ニコニコ学会β合宿(2012/08/19-20)

この合宿まではニコニコ学会界隈の知り合いほとんどいなかったので参加するのを躊躇ってたのだけど、逆に合宿型イベントは知り合いを増やす良い機会なのではと思い直して、参加することに。この読みが大当たりで、バス停から会場の方向がわからず、同じ状況だった @ さん @ さんと3人で会場に向かったり、朝食の席が @ 先生と一緒になって話したり、昼食でカレー屋に入ったら注文でてくるのが遅くて集合時間ギリギリになって、 @ さん達とバスまでダッシュしたりした。後にFMSで仕事を頂くことになる @ 先生とちゃんと話したり、@ と初めて会ったのもここが初めて。

合宿はアンカンファレンス形式で、tksさんとHAKUTO(当時はWhiteLebelSpaceJAPAN)の袴田さんがやった宇宙系セッションで、高須さんが言っていた「『宇宙ヤバイ100連発』セッションをやりたい」という言葉がすごく残っていて、これは後に「ニコニコ学会β宇宙研究会」という分科会を立ち上げたり、第7回シンポジウムで「野生の宇宙研究」セッションを開催するきっかけになった。

第3回シンポジウム in ニコファーレ (2012/12/22)

第1回と同じくスポンサー枠での参加なのですが、今回はPV流すのに加え、ロビーでスポンサーデモを行ってました。笑顔に応じてコインがもらえて、そのコインをチョコに交換できるというシステムです。会場で他に時間を潰すコンテンツもなかったため、ほとんどの来場者・登壇者に体験してもらえたのではないかと思います。

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この第3回のマッドネスは @ さんの「ゆきりん」が初登場した伝説の回で、その他にも本宮 @ くん早口プレゼンで初登場したり、@ニコファーレをチカチカさせたり、SHIRI が登場したりと、いろいろ神回でした。

第4回シンポジウム in 超会議2 (2013/04/27-28)

この回はポスターセッションで出すネタも無くふつうにスポンサー枠参加しようと思ったのですが、せっかく参加するなら何かしらの形で関わった方が面白いはず!ということで「ボランティアスタッフ」で参加しました。スタッフ白衣を着た初の回ですね。この回は、もともとすごくファンだったクマムシ博士の @ さんが登壇する「むしむし生放送」 がすごく楽しみで、堀川さん以外にもバッタ博士の前野ウルド浩太郎 @ さんらが登壇し、ニコニコ学会β史に残る伝説のセッションとなった。

サマーキャンプ2013 & 夏の自由研究 (2013/08/17-18)

昨年に引き続きアンカンファレンス形式のサマーキャンプに参加。開催前に岡本 @ さんからファシリテーターの依頼をされたので、ファシリテーターを務めました。この辺から徐々に中の人感が・・・。簗瀬 @ さんと初めて会ったのもここ。

この年は、サマーキャンプの終了直後に「夏の自由研究」という展示型のイベントが開催され、そこで「Personal Cosmos」の展示もしました。いま振り返って見ると、後に野生の宇宙研究セッションをやる HAKUTO や kikyu.org も展示してますね。

第4回シンポジウムまで、運営委員は固定だったのですが、このサマーキャンプ付近から次回(第5回)シンポジウムからは運営委員に有志メンバーを募集するという話になっていったような気がします。サマーキャンプ後の打ち上げで、岡本さんに「Twitterとかやりますよ!」といった記憶があります。

第5回シンポジウム in ニコファーレ (2013/12/21)

この回から運営委員として参加。なぜか広報委員に割り当てられた。全体ミーティングの他、広報委員の伊予柑 @ 、高橋 @ さん、花見さんと一緒にオンライン/オフラインでミーティングを定期的にやってた。開催前に登壇者紹介のTwitter告知を結構がんばってやってたような気がする。

というのと、マッドネス登壇者として初登壇。ネタ的に微妙かなーと思ったけど、シンポジウム開催日がちょうど30歳の誕生日だったのでなんとか登壇したいと思って応募。通ってよかった。このときのマッドネスのオープニング、高井さんが気合入れてつくってたので今までで一番かっこよかった。この回に登壇できてよかった。 終了後の打ち上げでもケーキで祝ってもらった。

この時は(この時からだっけ?)当日の打ち上げの他に1週間後にアフターパーティが開催されたのだけど、マッドネス登壇者同士でTwitter上で盛り上がってデモ展示をやる段取りを勝手に進めていき、実際にプチ展示をやった。いままではマッドネスの発表作品を触れる機会がなかったので、これはとてもよかった。

長くなったので前編と後編に分けます。第6回シンポジウム以降は後編で。後ほど公開します。

論文紹介『Changing the Appearance of Physical Interfaces Through Controlled Transparency』

はじめに

本エントリは ヒューマンコンピュータインタラクション論文紹介 Advent Calendar 2016 の2日目です。Advent Calendarとは、12月1日〜25日まで1日ずつ担当を決めてみんなでblog記事を書いていく企画です。ITエンジニアの間ではもうだいぶお馴染みの年末の習慣です。本日紹介するのはUIST2016で発表された『Changing the Appearance of Physical Interfaces Through Controlled Transparency』

論文はこちら

研究紹介動画はこちら

ショート(30秒)

ロング(7分16秒)

概要

  • 透過度の変化で表現する新しいフィジカルインタフェース
  • PDLC: Polymer Dispersed Liquid Crystal (高分子分散型液晶) + ITO(酸化スズインジウム) を使用
  • これに電圧を印加すると透過になる
  • この素材をレーザーカットして立体にする
  • オブジェクトの展開図をつくると、レーザーカット用の設計図(辺をジグザグにして辺同士を結合可能とし、折り曲げ部を曲げ可能な処理を行う)に変換するソフトウェアを作成した
  • 配線は自動では行わない
  • 応用事例として、インジケーター、虫型アバター、ランプシェードの3つを紹介
  • (アクチュエータを有する)動的物理インタフェースよりも「変化が早い」「省電力」「部品消耗が少ない」「既存オブジェクトにかぶせることも可能」
  • 動的物理インタフェースの補完となる位置付け

どこに注目したか

先行研究として引用されているSquamaのように、透過度の変化を用いて物理空間内の物体を変化させる。Squamaの場合は2次元平面の事例だったが、この研究では展開図の組み立てによって3次元化した。inFORMなど、さまざまなフィジカルインタフェースが研究されているが、この研究もその一つを担う。

おわりに

Advent Calendarの登録者が全然いないので、みんな登録して!!!!