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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

学校での作文授業のあり方


小学生の頃、作文があまり好きではなかった。何を書けばいいのかわからないというのもあったが、なにより授業での作文の書き方が効率悪いと思っていた。

文章を頭から書かせる

小学校の作文の授業では、大抵は作文用紙が配られる。生徒は、作文用紙のマスを頭から文字で埋めていく。書く内容が定まっていなくてもとりあえず書き始め、書きながら文章の構成を考えることになる。


これは、通常の文章の書き方としては良くないとされる方法である。ビジネス書を読めば、「書き始める前に全体の構成を考える」とどの本にも書いてあるはずだ。

鉛筆と消しゴムでできること

作文の授業で使う道具、紙と鉛筆と消しゴムでできることといえば、文字を「書く」「消す」のたった2種類の操作である。そんなことは当たり前なのだが、つまり何が言いたいかというと、この2種類以外の操作、文字や文の「移動」「挿入」「コピー」「ペースト」等が出来ないということである。


作文の途中、文を消したり、文を入れ替えたりして構成を変えたくなることはよくあるが、このときにすることは消しゴムをつかってひたすら文字を「消し」、できた空白に鉛筆を使ってひたすら文字を「書く」ことである。しかも書くのは、たったいま消したばかりの文字列と同じもの。なんて非効率的なんだ。

学校での作文授業のあり方

作文の授業は、文章を書く力、具体的には文章の構成を考える力や思ったことを文に起こす力を鍛えることが目的である。文字を書きまくって鉛筆ダコをつくることや、消しゴムのカスを増やすことが目的ではない。本来の目的の沿わない作業は極力減らすべきだ。


学校での作文の授業のあり方は、まず、本文執筆に入る前に全体構成を考えさせること。やり方はいろいろあるが、例えば、白紙を配り、自分が作文で一番書きたいことを図、単語、短文をつかって表現させ、それを文章にするときの話題の順序を考えさせる。


この作業で文章の構成をしっかりと意識した上で、本文執筆に入る。本文執筆の際には、文章を書く力を鍛えるのに不要な、文字を書く、消すという作業は極力減らす。幸い、我々がいま使っているパソコンという道具は、文の「移動」「挿入」「コピー」「ペースト」が可能である。作文の授業にパソコンを導入すれば解決する問題であると思うし、導入すればよいと思う。


どうしても紙と鉛筆で書かせるならば、作文用紙ではなく白紙を配り、文の挿入がしやすいように余白を多めにとった自由なレイアウトで書かせる。そして、はさみ、のりを使って「カット」&「ペースト」を出来るようにするという方法もある。

パソコン導入を阻むもの

現実として、作文の授業へのパソコンの導入には障壁がある。パソコンの操作を覚えさせるという障壁もあるが、子供のうちから触れていれば文字入力程度は難なくできるだろう。結局、将来のいつかのタイミングで覚えることになるのだし。


それよりももっと大きな障壁は、高校、大学の入学試験が紙と鉛筆で行われることである。実際問題として、学校教育において入試は大きな目的となっており、入試に向けた勉強が行われている。そして、作文の授業は、小論文の試験勉強そのものである。現在の入試は紙と鉛筆で行われるため、授業もそれに合わせて紙と鉛筆で行われるのは当然である。


小論文の試験は、その人が考えていること、そしてそれを文章として表現する力を問うのが目的である。鉛筆と消しゴムを扱うスキルを測るのが目的ではない。鉛筆で書かせる現在の小論文の試験方法は、できるだけ早く廃止すべき。


この記事も、作文用紙に字詰めで書けと言われていたら、一体何時間かかっただろう。