先日書いた
「ニコニコ学会β」って、その名称から「ニコニコ動画の学会」と思っている方もいそうなのですが、自分の理解では、必ずしもそうじゃないはずで、「いままでにない形式の学会」がニコニコ学会βなんだと思ってます。
について、@myrmecoleon さんと
@myrmecoleon そんなことはありません!ありらいおんさんのような方が新しい風を吹かすのがニコニコ学会の意義だと思ってます。実際、前回のコメントアートセッションなどはありらいおんさんがいないと実現しなかった好例として取り上げられてましたよ!
2012-08-22 11:19:33 via web to @myrmecoleon
@yumu19 あれこそまさに「ニコニコ動画の学会」指向なんだけどなー
2012-08-22 12:57:35 via Tween to @yumu19
@myrmecoleon たしかにあのセッションはそうですね。ただそれが全てでなく、一方で「研究100連発」のようなセッションもあったりして、ニコ動ユーザがアカデミックな成果に触れたりその逆も然りなのが「ニコニコ学会」なんじゃないかと。個人的意見ですが。
@yumu19 あれは ニコニコ的なスタンスでアカデミックなものを紹介しようとしたもの という印象ですね。もちろん百連発自体には自分は関わってないのですが,双方は「ニコニコ動画の学会」の両極なのです。
2012-08-22 13:27:36 via Tween to @yumu19
@myrmecoleon なるほど。ニコ生というプラットフォームを利用している以上、ニコニコ的なスタンスにはなりますね。この「ニコニコ動画の学会」に関して、あとでブログで補足しようと思います。
のようなやりとりをしたので、補足を。
何が言いたかったのか
「ニコニコ動画の学会」って言い方が曖昧でしたね。「の」って何でしょうね。
言いたかったのは以下2点。
1. は、ページが見つかりませんでした | ニコニコ学会β を見ると明らかですよね。
2. は、そういうセッションがあってもよい、というか、むしろそういうセッションをいろいろやっていくのが望ましいんでしょうが、学会全体がそれで埋め尽くされるわけではない。ニコニコ動画の単なる「リアルサイト」ではない、んですよね。*1
なので、
自分がニコニコ学会に求めてたのは,アカデミックな姿勢でのニコニコ的なものへのアプローチとニコニコ的な姿勢でのアカデミックなものへのアプローチの架橋だったのだけど,ニコニコ的なものを廃してアカデミックな姿勢でのアカデミックなものへのアプローチになると本格的に興味がなくなる。
の「架橋」っていう表現は自分の認識と合ってますし
#ニコニコ学会 は、「アカデミックなものをニコニコ的アプローチで扱う学会」と「ニコニコ的なものをアカデミックなアプローチで扱う学会」のどっちか片方じゃなくて、どちらでもある、でいいんじゃないかなあ?
そう思います。
何で言いたかったのか
ニコ生見たりした人の中には「ドワンゴ主催」って勘違いしてる人が結構いるように感じて、それを訂正したかったからなんですが。
じゃあ何でそういう勘違いが生まれたかというと、「ニコニコ」っていう言葉のインパクトが強すぎるからなんでしょうね。*2
どうしてこの名前になったかは、ニコニコ学会βを研究してみた (#NNG) で @eto さんが語ってます。
ニコニコ学会βはユーザ生成コンテンツの隆盛、中でもニコニコ動画の強い影響のもとに生まれている。私たちはニコニコ動画を強くリスペクトしている。私たちもニコニコ動画のように愛される存在になりたいと考え、株式会社ニワンゴの許可のもと、「ニコニコ学会β」という名前を使わせていただくことにした。
ニコ生見る人がみんな学会のページ見たり書籍読むわけではないので、この辺の浸透はなかなか難しいところですよね。
「学会」のレガシーさ
既存の学会というものはやはりレガシーシステムだと思うので、この辺、ニコニコ学会βがこれからどうなっていくか、すごく楽しみです。
というところにも
id:t_f_m 知識を積み重ねることと教養主義と学会のレガシーシステムって、それなりに理由があって成立したものじゃないの
というブコメ頂いたので、補足。
そうです。レガシーシステムは、研究成果を「大会(学会/研究会)」で公表し「論文」として蓄積するというシステムをつくってきました。年月をかけてつくられたこのシステムは合理的なはず。じゃあ何でそのシステムを変えて行かなきゃいけないかというと、昔は大会に行かないと研究成果を発表/聴講できなかったのが今やニコ生/Ustで見られるし、論文誌に載せないと残らなかった成果はwebに自由に残せる*3という風に変わってきたので。昔の合理的が今の合理的とは限らない。
そういえば昨年、
学会は、近い将来、ごく一部を除いて全て消滅するのではないでしょうか.
これまで学会が担ってきた、論文を集めそれを本という形で配布するビジネスデルは崩れつつあります.さらに、専門家同士が出会う場、情報を収集する場としての学会の機能も、ソーシャルネットワークや検索エンジンの発展により、消えつつあります.
極論すれば、ウェブがあれば、学会は必要ありません.権威を維持するための組織は必要ありません.
翻って、こうした情報環境の変化の中で、学会が本質的に果たすべき機能とは何でしょうか.情報環境の変化によらない、本質的な学会の価値があるのでしょうか.
- 消えゆく学会 ~問い直される学会の役割と社会との関係性~ - Togetter
- Jun Rekimoto - Google+ - 消えゆく学会 というパネルセッションがあるみたいです。別件があるので参加できませんが興味がある。 …
というシンポジウムがありましたよね(出席できませんでしたが)。
「学会」を名乗ることについて
五十嵐先生が ニコニコ学会βを研究してみた (#NNG) のインタビューで言っていた
「学会とは何なのか」という議論は常にあるんですけど、私としては、体系立った知識としてちゃんと作っていく気があるかどうかだと思うんですよ。
「ほんとに同じような論文はなかったの?」とか、「すでにあるものとの関係は何なの?」ということをちゃんと記述して体系化していくのが研究であり、だからこそ大学でやるべきだと思うんですよ。ただ単に思いついたものを作って見せて終わりで、既存のものとの関連を述べないのであれば、やっていることは一緒でも、「学会」という呼び方はおかしいかなと思います。
を読み、かなりズバッと言っていて衝撃的だったのだが、内容はごもっとも。
ただ、改めて書籍の @eto さんの巻頭言を読み返すと
「学会」は明解な定義が存在する言葉である。そのため、単に学会を名乗るのは問題があるだろうと考えた。そこで、「学会を目指す存在」という意味を込めて「学会β」と名乗ることにした。
と、ある。
う、うん、じゃあ、いいのかなあ。。。
残った疑問
- アカデミックなセッションとニコ動的セッションを交互に行うだけで、果たしてコラボレーションと言えるのか?
- そもそも「アカデミック」と「ニコ動」を分けて考えるのってナンセンス?
- 層は実はそれなりに被っているかも
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