はじめに
本エントリは ヒューマンコンピュータインタラクション論文紹介 Advent Calendar 2015 の1日目です。Advent Calendarとは、12月1日〜25日まで1日ずつ担当を決めてみんなでblog記事を書いていく企画です。ITエンジニアの間ではもうだいぶお馴染みの年末の習慣になってきました。昨年、システム系論文紹介 Advent Calendar 2014 というAdvent Calendarをみつけ、これは良さそうだと思ったので、HCI(Human-Computer Interaction)系でもやってみようと立ちあげてみました。
私が紹介する論文は、Ken Nakagaki(@ken0324)さんらの『LineFORM: Actuated Curve Interfaces for Display, Interaction, and Constraint』です。先日開催されたばかりのUIST2015で発表されました。UISTはユーザーインタラクションに関するトップカンファレンスで、ちなみに来年のUIST2016は東京で開催です。
研究紹介動画はこちら。HCI系のカンファレンスでは、論文投稿時に研究紹介動画を一緒に投稿することを必須または推奨しているところが多いです。
LineFORM from Tangible Media Group on Vimeo.
プロジェクトページはこちら(論文PDFへのリンクもページ内にあります)
また、GIGAZINEから日本語での紹介記事も出ています。
論文紹介
概要
- 動画を見るのが一番早いと思うので、まずはそちらを見るのがよいです
- いろんな形に一瞬で変形できる線状のディスプレイ / インタラクションデバイス
- 大きいのと小さいの2種類つくった
Figure 3. Two LineFORM prototypes which have different scales (A: Large, B: Small).より引用 - より高解像度のものをプロトタイプレベルで作った
- 「1DOFサーボモータ」「Arduino Mega (モータ制御とセンシング用)」「制御用Macアプリケーション」の3つの部品からできている
- ユーザが変形を加えるとサーボの電位差計(potemtiometer)で検出可能
- 表面の圧力センサでタッチ検出可能
- Mac上のアプリケーションで形を制御できる
- 手で変形した形を記録し、再現することができる
応用例
Figure 2. Design Space of Actuated Curve Interfaces. より引用
形が変わるコード、ウェアラブルデバイス、ルーラー(定規)、CADなど。これも動画を見るとわかりやすいと思います。
評価
- 定量的な評価は行っていないが、ラボのデモで100人以上に体験してもらった
まとめ
- アクチュエータをつなげた新しいカテゴリの変形インタフェースを提案した
おわりに
なぜこれを紹介したかというと、実空間を制御・再構成する研究に興味があり、UISTのプログラムにこれが載って動画を見た時にはとても感動しました。ベイマックスのマイクロボットをどうやったらつくれるか、ということを普段良く考えているのですが、LineFORMはそれに一歩近づく研究です。それから、Advent Calendar初日ということで、HCI分野外の人も見ることを想定して、最新でキャッチーなものを選びました。 HCI Advent Calendar、25日中まだ5日分しか埋まっていないので、今日このエントリを読んで面白いと思った方は、ぜひ登録してぜひなにか論文を紹介して下さい!
明日は金岡晃(@akirakanaoka)さんによる、"Improving SSL Warnings: Comprehension and Adherence" の紹介です。