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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

社会人学生に関するサイトまとめ

会社辞めずに社会人学生として大学、大学院に通いたい!!と思っても、社会人学生に関する情報って、あまりないですよね。この blog でもいろいろ書いていこうと思い、こんなサブタイトルをつけているのですが(あんまり書けていないけど。。。)。とりあえずもっている情報はどんどん共有していった方がいいだろうと思ったので、2年ほど前にいろいろ調べた際、参考になったサイトを挙げてみます。
情報科学系ばかりなのは、その分野の社会人学生が多いのか、こういう記事としてまとめるのがその分野の人ばかりなのか、自分の調べ方が偏っていたのか。。。

科目等履修生

他にもいいサイトがあれば、コメか twitter 等で教えてくれるとうれしいです(僕が参考にします)。

2012/02/05 初版作成
2017/07/02 更新
2017/10/01 更新
2017/12/04 更新
2018/05/01 更新
2020/12/01 更新

情報科学若手の会に参加してみて


情報科学若手の会という合宿形式のイベントに参加してきました。


「若手の会は帰ってからブログ/ツイートするまでが若手の会です」


ということなので、今年の若手の会を完了させるために参加した感想などをまとめました。

参加の動機

今回は初参加でした。このイベントをどこでみつけたのかはもう忘れましたが、おそらく誰かがツイートしていたのを見かけたとかだと思います。参加の動機は @ さんや @ さんのお話を聴きたいとか、いろんな分野の話を聴きたいというのがもちろんあるのですが、最大の動機をひとつ挙げると

「知り合いを増やすこと」

もともと修士までは異分野だったので、情報系分野の知り合いがあまりいませんでした。「この先、この分野でやっていくならこのままじゃダメだよなー。知り合い多いに越したことはないよなー」と常々思ってました。この、知り合いを増やすというのは、大学院の社会人博士コースに入学しようと思った動機のひとつにもなっています。

参加してみて

実際に参加して、いろんな方とお話することができて、面白くて貴重な話をたくさん聞けました。結果的に参加者の皆さんとも仲良くなれたかなと勝手に思っています。人生何があるか、どこで縁があるかわからないので、もっとこういう場に出ていこうと改めて思いました。


イベント終了後もTwitter等で簡単に繋がりを維持できることは今の時代に生まれた大きな利点だと思っていますし、若手の会でご一緒させて頂いた方々はきっとまたどこかでお会いするんだろうなあという気がします。関東の方も多いですし。よろしくおねがいします。


某方が「(若手の会は)いい意味で出会い系」という名言を残されましたが、本当にそのとおりだと思います。私にとっては出会い系です。もちろんいい意味で。

刺激を受けた

プレゼンはとても印象的で、一人ひとりとお話しした内容もとても面白くて、皆さんから刺激を受けました*1


@ さんはシリコンバレーのスタートアップで働いている方で、すごい具体的な話をいろいろとお聞きしました。シリコンバレーで働くことにめちゃくちゃ興味があったので、でもそういう人はいままで周囲にいなかったので、長時間捕まえていろいろ聞いちゃいました。とっても参考になりました。まだまだこれからもお世話になります。


@ さんは若くてめちゃくちゃ優秀な方で、1日5〜6時間コード書いてるという話や、実際に会期中に1時間ほどでサクッと bot を作ってしまうことにすごいなーと感じました。


私も何かモノをつくることは好きなのですが、特に最近はいろいろと自分の中で言い訳してなにも始められずにいたな、と反省しました。TwitterbotArduino を使って作りたいモノなど幾つか温めている(=放置している)ネタはあるので、計画的に少しずつにでも進めていければなあと改めて思いました。作り始めれば楽しくなるのはわかっているので。

話足りなかったこと

やはり時間は有限なので、正直もっと話したいということはたくさんありました。そのなかで特に個人的に興味を持ったトピックについてここに書いてみました。

情報科学情報工学の違いについて - @ さんの疑問に関連して

理学(科学)と工学の違いについては、就職したときに環境がガラっと変わっていろいろ考えたり悩んだりしてきました。理学は解明することが目的、工学は創出することが目的。など、いろいろ表現の仕方はあると思います。
また、理学と工学ははっきりと二分されるものではなく、連続的なものだと思っています。さらに、時代によっても変化するものだと思っています。理学的研究である程度明らかになったものが工学的研究に活用されることは自然な流れです


情報科学情報工学の違いについても基本的には上記と同じだと思います。ただ、そういえばきちんと情報科学情報工学の違いについて考えたことはないなと気づきました。今自分は工学をやっているとおもっていたけれど所属しているのは情報科学研究科なんですよね。


これってちゃんと考えてみると結構難しい。まず、「情報科学科」という名前がついていたとしてもカリキュラムが情報科学にこだわって組まれているわけではないということ。実際、日本の大学で情報科学情報工学をそれぞれ別の学科/専攻で持っているところはあまり多くなく、情報系の学科や研究室を大学内にひとまとめにしているところが多いと思います。Wikipedia 先生で「情報科学科」を見てみても、「情報工学科」に転送される始末。

なので、少々乱暴ですがあまりこだわらずに単なる名前だと思うくらいでいいのではないでしょうか。


違いを知るには、情報系の学科を複数配置している大学をみるといいかと思います。例えば、東京大学では情報系の学科として理学部の情報科学科と工学部の電子情報工学科や計数工学科などがあります*2

それぞれの学科にある研究室を見るとなんとなく「情報科学(情報工学)っぽいなぁ」というのが見えてくるんじゃないでしょうか。


あとは、工学部でも科学的(基礎的)な研究をやろうと思えばできるし、その逆も然りなので、自分のやりたい方向が定まっているならば研究テーマの選び方次第で方向を矯正することもできると思います。情報系に限らずですが。

電磁気学は難しい - @ さんの発表に関連して

私も修士までプラズマの研究をやっていたので、当時は毎日電磁気学とお付き合いしてました。というのと、教育にずっと興味を持っていて、高校理科の教員免許を持っていて実際に教育実習で物理(電磁気ではないですが)を教えたりしたこともあります。


そこで、電磁気学をなんとかわかりやすくできないかなと思ってました。講演で仰っていたとおり、電磁場は眼に見えないものを扱うということがネックだと思うので、そこを

 電磁気学×教育×情報科学

で解決できないだろうかと考えていました。例えば、電磁場を AR を使って可視化して実験などを行うことが出来れば、ある程度は力学等と同様に視覚的情報が直感的理解を助けるのではないかと考えています。


ちなみにプラズマの研究者は、磁力線をみるだけでイオンと電子のサイクロトロン運動の軌道を脳内で描きます。脳内ARみたいなものですかね。

最後に

参加者の皆様、いろいろとお話させて頂いてありがとうございました。そして、幹事の皆様、企画、運営、準備等々いろいろと大変だったかと思います。本当にありがとうございました。


来年もぜひ参加したいです!来年には AR 関連の開発話とか、大学の研究の CPS 関連の話とか、いろいろと提供できるかなーと思います。


では、きっとどこかでまた会うのでよろしくお願いします!

関連図書

会期中にツイートした以下の3つの本を改めてご紹介。


ライフログに興味がある方へ


「世界で一番使われている言語は下手な英語」に興味がある方へ

世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術

世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術


料理好きな方へ

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

*1:[twitter:@hoimei] さんからは物理的な刺激も受けました

*2:それでも大学院では「情報理工学研究科」としてマージされちゃうのですが

社会人博士って何やってるの?

結構よく聞かれるのですが、確かに傍から見ると何やってるかわかりにくいのかもしれませんね。基本的には「普通の博士課程と同じ」です。しかし当然昼間は働いているわけなので異なる部分も多々あり、その辺をうまく説明できなかったりします。なので、ちょっとまとめて書いてみることにしてみました。


「普通の博士課程」に馴染みがない方はとりあえずこの辺を読んで勉強して頂くとして


以下、私の場合についてQ&A方式で答えます。人によって、大学によってスタイルは様々でしょうが、ひとつの例としてご参考まで。

  • Q. 何やれば卒業?
    • A. D論を書けば卒業です。D論を書くためには学会誌に論文を数本投稿している必要があったりします。当然、論文に書くための研究成果が必要です。
  • Q. 何年で卒業?
    • A. 博士後期課程は基本は3年間です。しかし「D論を書いたら卒業」なので、逆に、D論を書かなければいつまで経っても出られません。この辺は普通の博士課程も同じ。分野や大学によっては3年で出るほうが珍しいところもあります。
  • Q. 普段なにしてるの?
    • A. 研究成果を出すために、論文を読んだり、シミュレーションを走らせたりして、日々がんばっています(というのが理想の姿)。
  • Q. いつ研究してるの?
    • A. 平日の就業後と休日です。
  • Q. 授業受けてるの?
    • A. はい、授業は受けてます。が、博士課程で授業受けて単位取得するというのは、誤解を恐れずに言えば「おまけ」みたいなものです。あくまで研究してD論書くことがメインです。私の場合、必要な単位は10単位ですので、D1の半期で大抵取り終わります。それから、授業を土日に開催してくれているというのは社会人コースの大きな特徴ですね。
  • Q. 大学って北陸にあるよね?
    • A. はい。私の通っている北陸先端科学技術大学院大学は石川県能美市にあります。しかし、東京キャンパスというものが品川にあり、社会人コースの学生は皆東京キャンパス所属になります。授業も東京キャンパスで受けます。
  • Q. 東京キャンパスに研究室があるの?
    • A. いいえ。東京キャンパスは普通のオフィスビルの一角にあり、講義室の他にテレコン部屋やプリンタや図書館やPCがあるだけです。指導教員との打ち合わせを東京キャンパスで行ったりはしますが、研究は家でやります。
  • Q. 指導教員との打ち合わせは?
    • A. 私の指導教員はほぼ毎週東京に来ているような方なので、東京で掴まえる分にはさほど問題ありません。いざとなればテレコンでもミーティングできます(使ったことないですが)。
  • Q. 石川にはよく行く?
    • A. 今のところ、訪問は先日の夏ゼミ合宿の際の1回だけです。今後の研究テーマによっては実験設備を利用しにいくかもしれません。あとは無事D論のほげほげ審査なところまで進んだ暁には足繁くの通うかもしれません。
  • Q. 会社から派遣されて入学したの?
    • A. 私の場合は、完全に会社とは無関係で、自分の意志で入学しました。プライベートな時間(就業後、休日)を使って大学院の研究活動を行っています。
  • Q. 会社から補助とかある?
    • A. ありません。
  • Q. で、いつD取れるの?
    • A. 「3年で取る」という当初の志は一応保ってはいるものの、現実的にはかなりきびs おっとこんな時間に誰か来たようだ

研究室を選ぶ

社会人博士に進学する際の研究室選択について書きます。
こういう記事を書き溜めていきたかったのだけど、全然書いてないな。

大学よりも研究室で選ぶ

社会人に限らずですが、大学院に行きたいとおもったときにまずするのは「研究室選び」。博士課程進学となれば、やりたいことはある程度明確になっていると思います。

  • 仕事での成果を活かして博士を取りたい
  • 仕事でやりたい事ができないから大学院に行く
  • とにかく博士号をとりたい
  • etc.

そのため、どの大学に行くか、よりも、どの研究室に入るか、の方がより重要になると思います。何がやりたいかは人それぞれですが、やりたいことができるところをきちんと選んだほうがいいでしょう。


最も多いと思われるのが「出身研究室」。それから、学会で知り合うとか、一緒にお仕事をしたことがある方。なければ、興味のある研究室にメールを送ってみるというのも手です。


私の場合、一応お仕事で少し関連があったのですが、直接の面識はなかったので突然メールを送るのに近い形になりました。

大学・研究科の社会人向け制度

大学よりも研究室が重要とはいえ、大学/研究科としても社会人博士向けにいろんな制度が用意されています。会社に勤めながらだといろいろな制約があると思うので、自分に有利な制度があれば大きなメリットになると思います。


ただ、大学に長くいる方だとわかると思いますが、あくまで「制度」であって、実際にどう運用されているかという実態はまた別です。教員に聞いても制度自体を知らないというのはよくある話だと思います。制度があっても運用されていなかったり研究室で受け入れてなかったり、逆に制度はなくても教員が社会人の受け入れに積極的だったりすると思うので、直接話を聞きにいくというのが一番早くて正確だと思います。


以下に研究室選びをした際に調べた、各大学の社会人博士に関する制度をまとめます。2010年の5〜6月に調べたものなので、制度が変わっていたり記憶違いがあるかもしれません。なので、参考程度に。

北陸先端科学技術大学院大学 情報科学研究科
  • 東京キャンパスが品川にある
  • 授業が週末(金夜、土、日)
  • 授業はすべて撮影、アーカイブされる
  • 留年しても授業料は3年分しか払わなくてよい
東京大学大学院 情報理工学系研究科
  • 入学試験に専門科目筆記がある(通常、博士課程入試は研究計画のプレゼンと英語のみというところが多い)。
総合研究大学院大学 複合科学研究科 | 国立情報学研究所 (NII)

まず総合研究大学院大学 (総研大) の説明からしなくてはいけないと思うのですが、下のリンクが参考になると思います。

で、NII では総研大 複合科学研究科 情報学専攻として社会人博士を受け入れています。

筑波大学大学院 システム情報工学研究科
慶応義塾大学大学院 政策・メディア研究科 (SFC)


あとは、東大工、東大先端研、東工大理工、慶応理工なんかも見てみましたがわりとオーソドックスだったような気がします。