大企業を辞めてベンチャーに転職しました

2011年9月をもって3年半勤めた株式会社東芝を退職し、10月からクウジット株式会社でお世話になっています。

はじめに

このような記事を書こうと思ったきっかけは、@shibukawa さんの

Shibu's Diary: ホンダを辞めて、DeNAに転職しました

を読んだことです。実際に先に読んだのは、いつかの Software Design に書かれていた記事ですが、内容は殆ど同じだったと思います。会社名を出してまですごく具体的な退社理由と詳細な心の内が書かれていて、読んでいてとても面白かったので、私も転職した暁にはこのような記事を書いてみようと思っていました。

あと、id:Chikirin さんが、「退職挨拶メール」を共有しよう！ - Chikirinの日記という何というタイミングのいい企画をやっているので、若干迷いましたが便乗させてもらうことにしました。

あとあと、つい 4ヶ月ほど前に退職しませんでした - yumulog | 社会人博士の日記という記事を書いたばかりなのに、結局退職してしまって釣りっぽくなってしまって申し訳ないです。

転職を報告した後に会ってまず聞かれるのが

いつから転職しようと思ってたのか
どうして転職しようと思ったのか
転職しようと思ったきっかけは何か

という質問(まあそりゃそうなんですが)なので、これに沿って書いてみます。

いつから

いつ、というのは大元を辿ると「会社に入る前から」ということになるでしょうか。新卒の就活のときから、ひとつの会社にずーっと勤めるというのはあまり考えていなくて、いくつかの会社を見てみたいなあとは漠然と考えていた気がします。ただそれが入社1年後なのか5年後なのか20年後なのかはとくにイメージしてませんでした。学生の時は「就職後のことは就職してから考えよう」と思って研究に没頭する作戦をとったので、転職についても就職してから考えればいいかなと思っていました。

どうして

先述の通り、学生のときからなんとなくいつか転職するだろうと思っていたのですが、それは「せっかく一度しか無い人生なので、ひとつだけではなくいろいろな組織や立場を経験して、人生３〜４回分くらいの体験をして楽しみたい」という考えが根底にあるからだと思います。ピザとかカレーとかで「ハーフ&ハーフ」ってありますよね、いろんな味を楽しめるという。あんな感じです。

あと、昨年から働きながら大学院博士課程に通っていて社会人学生をやっています。これは会社での業務とは全く関係ない形でやっているのですが、とはいえ全然別のことをやるのはしんどいですし、せっかくなので会社でやっていることを上手く研究に生かして相乗効果を出せるようにしていきたいなとは思っていました。

フルタイムの学生になって研究に専念することも考えましたが、せっかく社会人学生という形で大学にいながら企業での経験を積めるという貴重な立場なので、もうちょっと頑張って両立させてみようかなと思いました。

きっかけ

転職サイトには、入社して1年くらい経った頃に登録してプロフィールを載せていました。ただこれは、転職の準備と言うよりは、どんな企業が募集をかけているのか、オファーはどれくらいくるのか、という本当に単なる興味本位で登録していました。

話がそれますが、転職サイトに登録する際には、自分のその時点までの仕事を短めの文章にしてまとめます。自分の仕事を定期的にまとめ直すことや、専門外の人向けの説明を考えることは、自分の仕事の立ち位置を客観的に振り返るいい機会なので、転職サイトに登録するのは転職するしないに関わらずオススメです。

で、登録していてちょいちょいオファーは来るものの、特にこれといって興味があるものは来ず。そもそもいつどうやって転職するのか、自分の中に明確なものがありませんでしたし、他で通用するスキルはまだまだ自分は身についていないと思っていたので、まだその時期ではないと思ってあまり真剣に考えていませんでした。

ところが、今年の年明け直後にとある企業からオファーを頂きまして、その企業には以前からちょっと興味があったのと、「ちょっとお話ししに来ませんか」的な軽いノリの文面だったので、これもいい経験になるだろうと面接を受けに行ってみました。最終的にはその企業とはご縁がなかったのですが、面接もある程度まで進むことができて、プログラマとしてはほとんどキャリアのない自分のような人間でもそれなりにちゃんと見てもらえるもんなんだな、と知ることが出来ました。そこで、今まで5年後なのか10年後なのかはっきりしなかった転職の時期が、今挑戦してもいいんだ、ということに気づき、本格的に転職活動を始めるきっかけとなりました。

ところで、私は今年の4月に異動があってその直後の転職だったので、たぶん周りの多くの方にそれがきっかけだと思われているでしょう。業務と部署が変わったことによって研究との両立がしにくくなったことは事実で、それは確かに転職の理由の一部にはなっているけど、それは決してきっかけではないんですよね。と、こんなふうに記事を書いてて改めて気づきました。

どういうところに

これまで大企業にいたので、次はもっと新しくて規模の小さくて動きの速そうなところへ、と考えました。

大学の研究と両立しようとすると、企業の研究所がまず浮かびますが、研究所をもつ企業となるとそれなりに大規模なところに限られてしまうため環境の変化も少ないし、そもそも自分に大企業の研究所に移れるだけの業績もないので、難しいだろうなと考えていました。

なので、研究と直接結びつくようなことは難しくとも、自分が興味を持って取り組めることと、アイディア次第で研究と結び付けられそうな仕事に携われそうなところを探して行きました。今はどんなことでも経験になるし、今後どう結びついていくかわからないので、あまり業務や業界で絞らずに広めに見たと思います。

初めは上記のような考えに至らず、行きたい企業をなかなか見つけられずに苦労しましたが、いろいろと調べていくうちに、そして発想を柔軟にしていくと面白そうと思える企業*1が幸いにもいくつかみつかったので、エントリーしてみました。

なぜクウジットか

クウジットという私にとって魅力的な会社に出会ったことは、本当に幸運でした。クウジットは、以下のようなビジョンを掲げている会社です。

クウジットは、「空」(virtual)と「実」(real)とをつなぐ技術で、ユーザー体験価値の向上を追求するというビジョンのもと、行動や体験をデザインし、新しいライフスタイルと価値創造に向けて、社会に貢献してまいります。

私が大学院で取り組もうとしている研究テーマが Cyber-Physical System で、これは Cyber な (コンピュータ上の) 世界と Physical な (物理的な) 世界を統合的なシステムとして扱うというもの*2で、表現は違うもののまさにクウジットのビジョンと一致するものだと思いました。

私は修士まで地球物理を学んできたのですが、クウジットでの「実」の部分の研究開発にはこのバックグラウンドを生かせると考え、これだ！！と思いました。

あとこれは内定後に知ったのですが、私は前職ではネットワーク系の部署にいたのですが、クウジットにもネットワーク系出身の方がいて、共通の知り合いがたくさんいたりするのも面白い縁だなと思いました。

これから

AR の知識もスマートフォンアプリの経験も全く無く、そもそもソフトウェア開発の経験もとても浅いので、まずは着実に、でもスピード感と責任をもって仕事に取り組んでいけたらなと思います。

これから5年後、10年後、どういう道に進むかわかりません。とりあえずノープランです。でもその時その時で面白そうな方向へ飛び込んでいけたらなと思っています。そのための準備は怠らないようにしておきたいものです。

退職挨拶メール

そういう趣旨の企画に便乗させていただいたので、一応前の部署(一番長くいた部署)向けに送ったものをさらします。超無難で全然面白くない*3です。あまり時間がなくて急いで書いたので表現も変だったり。ほんとすいません。

本日で東芝を退職することとなりましたので、
ご挨拶させて頂きます。

XXX(部署名)で過ごした3年間はあっという間でしたが、
幅広いテーマに携わることができ、貴重な体験をいろいろと積ませて頂きました。
素晴らしい同僚に囲まれ、とても恵まれた環境で働けて、
楽しく貴重な時間を過ごすことができました。
分からないことが多々ある中で、皆さんにいろいろ親切に教えていただいて、
とても感謝してます。
本当にありがとうございました。

10月からは、クウジットという会社で働きます。
職場は麻布十番にあり、今とは環境が大きく変わりますが、
東芝での経験をもとになんとかやっていきたいと思ってます。

東芝を離れることにはなりますが、この辺↓
http://twitter.com/yumu19
http://d.hatena.ne.jp/yumu19
に近況を書いていますので、勝手ながら今後もぜひお付き合い頂ければ幸いです。
大学院博士課程も引き続き通っておりますので、アカデミックな方面でも、
引き続きお世話になることがあるかと思います。

何かあれば
xxxxxxx@gmail.com
まで、いつでも連絡ください！

それでは、本当にお世話になりましたm(_ _)m