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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

技術書典7で情報処理学会として出展し学会誌とTシャツを頒布しました #技術書典

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技術書典7で情報処理学会としてブースを出展し学会誌とTシャツを頒布しました。

技術書典に出展することになった経緯

そもそもの大前提として、私は、昨年度から、情報処理学会誌『情報処理』の編集委員を務めています。学会誌というのは、学会員宛に毎月届き、破きにくいビニールに入ってる冊子です。↓こういうやつです。ジャーナルが掲載される論文誌ではありません。

編集委員になって約1年半経ったのですが、いままでの活動を通じてわかったのは、学会誌はかなり労力をかけてつくっていて、実際に面白い記事も多いということです。しかし、会員が実際に目を通す機会はおそらくそんなに多くないでしょうし(僕も編集委員になるまでは毎号熱心に読んでるわけではありませんでした)、そもそも会員全員が読んだとしても、情報処理学会員にしか届かないわけです。

特にそう強く思ったきっかけが、今年5月の特集で、私も編集に携わった「フレッシュマンに向けたプログラミングのススメ」でした。これは

平鍋 健児さん、油井 誠 @myui さん、柿本 正憲さん、榊 剛史 @tksakakiさん、渋川 よしき @shibu_jp さん、松本 亮介 @matsumotory さん、増井 雄一郎  @masuidrive さん、及川 卓也 @takoratta さん、原田 隆宏さん、田中 章愛 @akichika さん

という執筆陣からも想像つくであろう通り、ソフトウェアエンジニアにとって非常に面白い記事が揃ってました。このような面白い記事がたくさんある学会誌を世間に広めないともったいないと思い、学会の中だけではなく世間一般にもっと読んでもらうための施策として、技術書典に出展することを発案しました。ちなみにこのフレッシュマン特集は、今回の頒布ラインナップのひとつにもなっています。

私は学会誌を技術書典を頒布することしか考えてなかったのですが、グッズの頒布を太田智美 @tb_bot さんが発案し、山本ユウカ @ymmox さんのデザインであの「この分野は素人なのですが」Tシャツが出来上がりました。書籍の手配や配送など出展に関する多くの作業は情報処理学会の会誌編集担当の事務局が担当していただき、出展の準備は他にも有志の編集委員も協力してくれました。

稲見 @drinami 編集長も「情報処理学会の薄い本」ということをたまに言っているのですが、学会誌は同人誌を作ることに近い面があると思います。編集委員は大学や企業に勤める人たちが集まった有志で結成され(学術界の委員というのは大体そういう形になってます)、商業的な売上よりも、いかに面白い内容を作り上げるか考えてます(そもそも学会誌は売上より会員数を伸ばすことがKPIですし)。

出展してみて

Tシャツのおかげで強いインパクトを残すことができたかなと思います。Tシャツのツイートが、技術書典関連で最もRT/いいねされたツイートだったと思います(ざっくり調べた限り)。

学会誌も、(正確な数はまだきちんと整理していないのですが概算を見る限り)1サークルとして見れば売れたほうなのではないかと思います。ただ、個人的に想定してたよりは売上少なかったなというのが正直なところです(完全に個人の見解です)。すぐに思い当たる改善点はいろいろあって、例えば、見本誌は置いておいたのですが、その隣にひと目で内容がわかるようなPOPやビラがあると手にとってもらいやすかったかなと。特にフレッシュマン特集の方は、表紙が硬くみえるのでw 学会誌は膨大なバックナンバーがあることが武器なので、過去記事から特選集をつくったりするなど、学会誌ならではの技術書典の出展の仕方があるのではないかという気もしました。

ちなみに

技術書典7の感想

技術書典は、一昨年の技術書典2でおうちハック同人誌を頒布したのですが、その時には現地にはいけなかったので、今回が初めて参加する技術書典でした。初参加の感想は、めちゃくちゃ面白かったです。コンテンツがありふれて書籍が売れなくなってきたこの時代に、有志で書籍書いて、それを売って、飛ぶように売れるの、(良い意味で)意味がわからんw 毎月開催してたら売れないと思うので、まあ一種のお祭りなんでしょうが。コミケの同人誌文化を活用して出版のハードルが下がったことでこういうお祭りが可能になったのかなと。

本を見て回るのは純粋にすごく面白くて、いろいろ買いました。

おわりに

情報処理学会の話とは別に、個人的にも、自分で文章を書いて表紙作って印刷所に発注して頒布するというのをやりたいなあと思いました。いつかやるぞ。

それから、個人的に思い描いていることとして、今後の技術書典にいろんな学会の会誌がずらりと並ぶようになると面白いなと思っています。きっと他の学会誌でも似たような想いを抱いているのではないかと思うので。人工知能学会、VR学会、電子情報通信学会、ヒューマンインタフェース学会、芸術科学会等々の会誌担当の皆さん、どうですか?