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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

ABPro2015で寝返りブロックくずしを発表した #ABPro

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2015年10月10日(土)に明治大学中野キャンパスで開催されたABPro2015に今年も参加しました。

自作の「普通じゃないプログラム作品」を発表しあう会,それがABProです. 高度な技術や専門的な知識を用いるのも良いですが,我々が目指すのは,人を驚かせ,笑わせ,幸せにするようなプログラムです

4年連続4回目の参加です。

発表内容

ベッドにシリコンキーボードを敷いて睡眠時の体の位置センサにする研究をやっているのですが(もともとは3年前のABProでも発表した枕の睡眠センサの発展)、この睡眠時の体の位置を利用してプレイするブロックくずしをつくってみました。

発表では、実際にデモを実演した後、あらかじめ撮影しておいた一晩プレイした動画を紹介。大物を使ったデモは初めてで、内容的に大したことしてなくてもモノが大きいだけで独特の緊張感があることがわかった。 つくっている時に、これはGamificationとはちょっと違う何かだろうと思い始め、終了後に栗原さんとディスカッションして「寝ゲー」というジャンルが生まれた。

実装

ゲーム部分は、enchant.jsを利用してJavaScriptでつくっています。キーボードのキー取得は、別PC(Raspberry Pi)で行っています。複数キーボードのキー押下を取得するために、libusbを使ってRubyプログラムでキー押下情報を取得し、node.jsのサーバを経由してsocket.ioでブラウザに渡しています。

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ソースコード

発表紹介

面白かった発表を紹介します。全部面白いので本当は全部紹介したいくらいなのですが、大変なのでピックアップしたものを5つほど。

ABProtain

@ 先生の、キーボードのベロシティ(打鍵の強さ)を利用した音ゲー

演奏がすごすぎて、発表中は終始笑ってた。プログラミングはサクッとつくり、それをプレイするためのトレーニングに3ヶ月をかけたというのも斬新!

ドローンの羽の回転で綿あめを作る

FMS 2年生の @ さんの、ドローンの羽の回転を上手く制御しながらわたあめをつくるという作品。アイデア自体はシンプルなのにこれめちゃくちゃおもしろかった。プロフェッショナル風の制作VTRもクオリティ高かった。

Abnormal 3Dprinter Cooking

FMS 2年生の @ さんの作品。(食品用ではなく通常の)3Dプリンタをつかって温めてチョコフォンデュを作成。食べ物を出力するフード3Dプリンタはよくあるけど、3Dプリンタを使った調理というのは斬新。@ さんの ふりかけプロッタ とのコラボや、@ さんの グラフでトースト温度制御 みたいなこともできると楽しそう。

Processingコード自動生成

明治大学4年生の @ くんの作品。マウスでお絵かきした図形(矩形・円)から、Processingのコードを自動生成するもの。動きを追加することも可能。さらに、Arduinoで刺したピン番号を自動認識するというものも。すごすぎ。

これも動画・スライドが後日公開とのことなので楽しみに待機。

Dish Jockeys

筑波大学の @ さんの、皿洗いでDJをできる作品。これはおうちハックだ!と思った。まだプロトタイプとのことなので、どこかでデモ披露してくれるのを期待。

ABProの魅力

今年から石川に引っ越したので今回は石川から新幹線で参加しましたが、石川からの移動時間と交通費を考えても参加することに全く迷いがなかったほど、毎年楽しみにしているイベントです。津田塾大准教授・イグノーベル賞受賞者の @ さんやUnity・ゲームデザイン研究者の @ が毎年参加し、過去には現代の魔法使い @ やPossessedHand開発者 @ さん、@ さんも参加するABPro、いったいなにがそこまで我々を惹きつけるのかちょっと考えてみた。

3文字でまとめると「楽しい」の一言なのだけど、4年参加しても、毎年新しいネタが生み出されて全く新鮮味が失われない。ふつうは同じイベントに数回参加するとだんだんと飽きてくるのだけど、ABProは飽きるどころか毎年楽しみが増す不思議なイベント。飽きない。なぜか飽きない。

「普通じゃないプログラム作品」

というコンセプトが絶妙なんだと思う。プログラミングという文脈を共有できているから、より深いネタに切り込める。ドローンや3Dプリンタを使ったり、dockerなどの新しい技術を使った作品も生まれるので、ネタも年を追う毎に更新されていく。そして、高い技術には賞賛が送られる。 あとは、役に立つということを前提としてない。賞も設けていないし、フィードバックは会場の笑いとTwitterの盛り上がりのみ。なので、必然的にどうやって楽しませるかという方向に力を注ぐようになる。

まとめると、

  • 技術に対して理解があり尊敬を持って接する雰囲気
  • 役に立つことよりも来場者みんなを楽しませることに注力

という2点が、他のイベントにはないABProの価値を生み出してるのではないだろうか。昨年の Daily Portal Zの記事

この人たち、笑いをとるために、高度な技術を惜しげなく投入しているぞ。

プログラムで笑わせろ!「普通じゃないプログラム」発表会 - デイリーポータルZ:@nifty

と書かれていたけど、これがかなり本質を突いていると思う。

ということで、いろいろ書いたけど毎年本当に楽しいです。宮下研メンバーのみなさん、準備本当にありがとうございます。また来年もたぶん出るので、楽しみにしています。