[twitter:@sinkaigirl_] さん撮影
2014年6月14日(土)に政策研究大学院大学で開催された第12回Smips・研究現場の知財分科会にて、「誰もが研究する時代の到来 〜これからの未来をつくる「野生の研究者」の生態に迫る〜」というタイトルで講演しました。ニコニコ学会などでいろいろ一緒にやっている山田P( [twitter:@2ndlab] )が幹事の講演会です。
- 概要:http://www.2nd-lab.org/#!research-12th/cgwi
- togetter:http://togetter.com/li/668744
- Facebookイベントページ:https://www.facebook.com/events/524253687686279/
40名ほど?の方に参加して頂き、また、講演後に行ったディスカッションも大変盛り上がりました。動画や写真も撮影して頂き、皆さんありがとうございました。
資料はこちら
動画はこちら。タカイ( [twitter:@slowdelay] )さん、ワタナベ( [twitter:@mangan] )さん撮影。
興味持った方には動画の方をぜひ見ていただきたいのですが、90分もあるので、概要を下記にまとめました。
自己紹介
ややこしいので図にした。 #smips湯村 pic.twitter.com/eR3iMqehJz
— 湯村 翼 (@yumu19) 2014, 6月 7
*これとかみてください http://yumulab.tumblr.com
ニコニコ学会β
- 第1回〜第6回までの全て、外(スポンサー、発表者)と中(運営委員、座長)から関わってきた。
- ニコニコ学会βにおける「野生の研究者」とは
「生まれながらに研究者」という意味である。従来から「在野の研究者」という言葉があるが、これは職業としての研究者ではない人を意味する。しかしもともと研究者とは、職業というよりも生き方であり、常に探究心を忘れずにいる人を意味する言葉であるはずだ。そこで、プロ・アマという区分を無視し、生き方としての研究者を選んでいる人を「野生の研究者」と呼ぶことにした。
江渡 浩一郎 『ニコニコ学会βを研究してみた』
過去のニコニコ学会には、以下の様な野生の研究者が登壇した*1
[twitter:@hecomi] さん/ [twitter:@jojonki] さん
- レゴでインタラクティブなプロジェクションマッピングを製作
- 凸P(Mont Blanc Pj) (ニコ生TS)
- [twitter:@needle] さん
- 自らの腱鞘炎を動機に指に負担がかからない作業環境を構築
- 腱鞘炎の効率厨がPC環境を改善するとこうなる (ニコ生TS)
- 綾塚 祐二( [twitter:@ayatsuka_yuji] )さん
- UI・インタラクションの研究者が本職だが、大気光象の発表
- 大気光象の世界 ~水、氷、そして花粉と光が織りなす空の彩り~ (pdf)
- 吉崎 航( [twitter:@W_Yoshizaki] )さん
- 僕は研究してみたマッドネスがすごく好きで、たぶん世界一観てるとおもう
- 研究してみたマッドネスが好きな理由は「誰でも研究者になれる」というところに共感したから
野生の研究文化ができるためには?
- 馴染みのない方もいるので、既存の学術研究文化についておさらい
- 学会:自己の研究成果を公開発表し、その科学的妥当性をオープンな場で検討論議する場
- 論文:研究結果をまとめ、学術雑誌に投稿する文章。先行研究の事例を挙げ(引用 / 参照)、そこからの進歩(差分)を記述する。
- 査読:投稿した論文を雑誌に掲載してよいかどうか判断する。査読は他の研究者が行う。
- 引用:既存の論文を先行研究事例として提示する。被引用数が論文の質の指標のひとつとなる。
- アマチュア研究者が活躍する分野として「天文学」「民俗学」「ものづくり(Makers文化)」がある
- Makers文化では、Maker Faireという「発表する場」(学会に相当)がある
IT界隈の文化
- IT(ソフトウェア開発)の文化が、野生の研究文化を形成するためのヒントになると思っている
- ITでは「野生のエンジニア」が大活躍
- 世の中の優れたソフトウェアはオープンソースで開発
- IT勉強会文化
- GitHubのFork、Pull-Request、Starの仕組みが研究プラットフォームにも生かせるのではないか
- IT界隈の文化はすごくうまくいっていると思う。それは「エンジニア人口が多い」「業務と直結する」「車輪の再発明を嫌う文化」による。
まとめ
- 「コミュニケーション」の場(学会/勉強会)と、「アーカイブ」の場(論文/GitHub)が、野生の研究文化に必要
- IT勉強会のLT文化は研究会にも取り込めそう。GitHub相当のものはどうやってつくる???
- 大学や研究所以外でも研究をやってもよい。人類は多様化していく。
皆違っていい。なぜなら、多様性は善だから。多様性があると、種として強くなる。ホモサピエンスとして、強くなる。生物でも言えることですが、全ての個体が同じDNAを持っていたら、天変地異が起こった時に皆死ぬ。けど、多様性があるからこそ、生き残る個体が出てくる。その個体のDNAがその種のベースとなって、受け継がれていく。だから、違うことはいいことなんです。
仲 暁子 Wantedly 航海日誌 — じぶんにぴったりの働き方を、シゴト3姉妹で考える 〜ライフワークとライスワーク〜 前編
- 研究ってもっと「趣味」として認められてもいいのでは。プログラミングが趣味として認められているように。
- 人々に科学が根付くには、サイエンス・コミュニケーション活動(専門家の知識を広める)だけでは限界があり、市民(いわゆる研究者以外の人々)が積極的・能動的に関わるようにならなくては。
- なヲタさんのこのツイートで締め
そもそも、大学生や院生でなければ研究者には成れないっていうことがそもそも間違いであって、普段自身が行っていることや、何気なく感受している事柄について「これって本当はどうなんだろう?」って疑問に思って調べたり突き詰めようとする姿勢があれば、もうそれで立派な研究者なんでしょうね。
— なヲタ級flagship - SKB06 (@nawota1105) 2014, 5月 6
*1:ニコニコ学会βを見たことのない方のために「百聞は一見にしかず」ということで第5回マッドネスの凹さんの発表を上映