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猫宇宙科学研究所 #NYAISASメールマガジン に #spaceappstokyo の記事を寄稿しました

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NYAISAS(猫宇宙科学研究所)メールマガジン に International Space Apps Challenge の記事を寄稿しました。NYAISASメールマガジンというのは、ISAS*1メルマガのパロディなのですが、そのゆるい名前に反して、内容は本家に負けないくらい本格的で面白いです。毎週届くのを楽しみにしてます。無料ですので、みなさんぜひ購読してくださいー!

ちなみに、本家 ISAS メールマガジンはこちら

A4で8ページ分、約8000文字書いたー。これだけ書いたのは久しぶり。だけど、書きたいことがいっぱいあったのでスムーズに筆が進んで、一晩で終わった。SpaceApps終了時にもブログ書いたけど、バタバタしてて一気に書いたから、改めてまとめて書きたいとは思ってたし。

メルマガ書くのは初めてで、普段ブログ書いているのでそれほど違和感なく書けましたが、画像が貼れない、一行の文字数制限があるなどの微妙な違いはあり、いい経験になりました。書いてて楽しかったです。機会があればまた書きたいです。

あと、メルマガ記事中に

来年の話はまだ何も決まっていませんが、きっと開催されるだろうと思っている

と書きましたが、ちょうどこのメルマガ執筆した直後に来年のエントリが始まったので、来年も開催されるようです。

以下、寄稿した記事です。

来る8月27日、JAXAの新しい固体燃料ロケットであるイプシロンロケットが打ち上げ予定です。
次世代の新型ロケットとして非常に注目されているイプシロンですが、
その打ち上げに搭載するのは、SPRINT-Aという惑星分光観測衛星です。

 ~~
 SPRINT-Aは地球を回る人工衛星軌道から金星や火星、木星などを遠隔観測する
 世界で最初の惑星観測用の宇宙望遠鏡です。

 (中略)

 SPRINT-Aでは、これら地球型惑星の大気が宇宙空間に逃げ出すメカニズムを調べます。
 特に太陽系誕生直後には、太陽が現在よりも激しく活動していたため、
 非常に強い太陽風が惑星に到達していて、多量の大気が逃げ出していたと考えられています。
 強い太陽風が惑星の大気にどのように作用するかを調べることで、
 初期の太陽系で何が起こっていたかを知ることを目指しています。
 ~~
 ISAS 科学衛星紹介ページより引用
 http://www.isas.jaxa.jp/j/enterp/missions/sprint-a/

今日まで、日本における惑星探査は、極めて厳しい道を歩んできました。
2003年の火星探査機のぞみの火星周回軌道投入断念(※1)、
そして2010年の金星探査機あかつきの金星周回軌道投入失敗(※2)。
SPRINT-Aは、そんな日本の惑星科学を歴史を変え、盛り上げてくれる新たな光となるでしょう。

※1 のぞみが辿った道は、松浦晋也さんの書かれた『恐るべき旅路』という書籍に詳細が記されています。
現在絶版なので図書館などで探してみてください。
※2 あかつきは、2015年の金星周回軌道投入を目指して運用が続けられています。


 田-[´・v・`]-田


はじめまして、湯村と申します。ソフトウェア開発のエンジニアをしています。
なぜ冒頭でいきなりこんな話をしたかというと、学生時代は地球科学科→地球惑星科学専攻というところに所属し、
2006~07年度の2年間はISAS宇宙科学研究所に学生として在籍して研究していたので、
SPRINT-Aは非常に注目している衛星なのです。
当時の僕の研究テーマは、宇宙プラズマ中の高エネルギー粒子ができる原因を探ることで、
磁気リコネクションという現象をスーパーコンピュータを使ってシミュレーションしていました。
「その研究は何の役に立つの?」というのはよく聞かれることではありますが、大抵以下のように答えていました。
地球の磁気圏にて磁気リコネクションによって生成された高エネルギー電子が地球に降り込むと、
地球の大気と衝突して発光します。これがオーロラの発生する有力なメカニズム(※3)とされています。
なので、この研究は、オーロラの解明につながるかもしれない、と。

※3 オーロラ発生のメカニズムは未だ完全には解明されていません。


前置きがだいぶ長くなりましたが、ここから本題の「International Space Apps Challenge」について書きます。
International Space Apps Challenge (以下 ISAC) というのは、
世界各地で同時に開催される、NASAのデータを使って何か作ろうという、
宇宙ハッカソンイベントです。

 ~~
 Space Apps Challenge は、世界規模で行うハッカソンイベントです。
 ハッカソン(Hack-a-thon)という用語は、「Hack」と「Marathon」を合わせた造語で、
 同じテーマに興味を持ったエンジニアやデザイナーなどのメンバーが一箇所に集まり、
 一定期間に集中して、互いに強力しながら開発を行うイベントです。
 (あとでご紹介する米国のサイトでは、Codeathon と呼ばれています。)
 ~~
 2012年 International Space Apps Challenge Tokyo 公式ページより引用

 ~~
 このイベントは、NASA主催で開催される世界規模のハッカソン(アプリ開発)イベントです。
 昨年2012年に引き続き、今回が二回目となります。 NASAの提供するデータを元に、
 科学者がデータの解説や使い方を説明し、一般の市民が世界をより良くするアプリを開発し、
 企業は協賛の形でイベント開催をサポートする。三者が一体となって行うハッカソンイベントなのです。
 ~~
 International Space Apps Challenge Tokyo 公式ページより引用
 http://tokyo.spaceappschallenge.org/about


今年は44カ国83都市にて開催されたようです。
東京も、関 治之(@hal_sk)さんのオーガナイズにより、昨年の第1回から会場として名乗りを上げ、
International Space Apps Challenge Tokyo(以下、ISAC Tokyo)として開催しています。

私も第1回から参加しており、昨年がとても楽しかったので今年は事務局スタッフとしてお手伝いもしました。
NYAISASの @moffmiyazaki さんと知り合ったのも ISAC Tokyo がきっかけでした。

今年の春に開催された、第2回ISAC Tokyoの様子を振り返りながら、イベントの紹介をしていきます。


■アイデアソン
ISAC Tokyoは、アイデアソンとハッカソンの2段階で開催されています。
アイデアソンとは、ハッカソンでつくるもののネタ出しを行う会で、3/24に日本未来科学館で行われました。
その時の様子がこちら。
#spaceappstokyo Space Apps Challenge Tokyo 2013 アイデアソンまとめ
http://togetter.com/li/476898

アイデアソンでは、全員がアイデア出しをした後、投票によって特に人気の高いものを選出しました。
それらの発案者が、アイデアの概要をプレゼンし、ハッカソンに向けたチームメンバーを募ります。
参加者は、メンバーとして参加してみたいアイデアの元へ集まり、
1ヶ月後のハッカソン本番に向けてチームを結成しました。

アイデアソンでは、使いたいデータがあるけどどこを見ればいいかわからない時のために、
@lizard_isana さんが情報をまとめてくれました。
International Space Apps Challenge Tokyo 2013 - Ideathon Briefing 2013.03.24
http://www.lizard-tail.com/isana/isacjp/2013/ideathon_briefing.html

また、モノづくり系のプロジェクトをやりたい人たちのために、「ハードウェア・アイデアソン」も別途開催されました。
#spaceappstokyo Space Apps Challenge Tokyo 2013 ハードウェア・アイディアソン at FabLab渋谷 まとめ
http://togetter.com/li/483506

多くのチームは、アイデアソンからハッカソンまでの1ヶ月間も、
Facebookグループ等を活用してオンラインで活動を進めていたようです。


■ハッカソン1日目
さて、ハッカソン本番。4/20(土)~21(日)の2日間、東大駒場リサーチキャンパスで開催されました。
#spaceappstokyo Space Apps Challenge Tokyo 2013 ハッカソンまとめ
http://togetter.com/li/490591

2日間のハッカソンの様子を撮った写真は、こちらにまとまっています。
http://www.flickr.com/groups/2203925@N21/

DAY1 Highlights of International Space Apps Challenge Tokyo 2013 Hackathon!!
(with images, tweets) ? spaceappstokyo ? Storify
http://storify.com/spaceappstokyo/international-space-apps-challenge-tokyo-2013-day1

オーガナイザーの関さんからISACの説明を行った後、ハッカソンチームの結成です。
アイデアソンの時に結成したチームがベースとなるものの、アイデアソンに参加できなかった人も、
ここで改めてチームに入ったり自分でアイデアを出してチームメンバーを募ったりできます。

チームが結成されたら、チームで分かれて開発の開始です。
アイデアの詳細を詰めていったり、実装を始めたり、どう進めるかは完全に自由です。
1日目は、開発途中に2度の中間発表会が行われました。各チームが、開発の進捗を報告していきます。
「プログラマーが足りない」「デザイナーがいない」など困った状況に陥っているチームは、
中間発表を利用してヘルプを求めたりもしていました。

夕食は、スペースシャトル寿司。世界中の他の開催地からも大人気でした。
https://twitter.com/spaceappstokyo/status/325545069060960257

1日目の解散時間は自由なので、多くのチームが夕食後も開発作業続けていました。
泊まり込みで開発する人やチームもちらほら。
泊まり込み組の特典として宇宙飛行士とのハングアウト(ビデオ会議)が開催されました。
僕らのチームは終電前に解散したのですが、これは羨ましかった!
https://twitter.com/hal_sk/status/325638341821345792ハッカソン2日目
DAY2 Highlights of International Space Apps Challenge Tokyo 2013 Hackathon!!
(with images, tweets) ? spaceappstokyo ? Storify
http://storify.com/spaceappstokyo/international-space-apps-challenge-tokyo-2013-day2

2日目は、午前中に開発の続きを行い、お昼で開発終了。
午後は審査員の方々もお呼びし、デンソーITラボラトリーのオフィスにて、
全18チームの最終成果発表会を行いました。
発表会のプレゼン動画はアーカイブされているので、いつでも観ることができます。
http://www.ustream.tv/recorded/31754745
http://www.ustream.tv/recorded/31755909

ここでは、審査の結果3位に入った上位4チームを紹介します。

第3位(同率2チーム)
Dear my SPACE DEBRIS
http://prezi.com/xvpqhzeyrelt/dear-my-space-debris-team-debris/
http://www.ustream.tv/recorded/31755909/highlight/347461
気に入ったデブリ(宇宙ゴミ)にタグ付けし、モニタリング。デブリの一生を通して宇宙のライフサイクルを感じる。

MarsfaceProject
http://www.slideshare.net/takasu/marsfaceproject
http://www.ustream.tv/recorded/31754745/highlight/347055
火星や月の画像を顔認識して、文明の痕跡を探すというプロジェクト。
会場を一番盛り上げたのは、間違いなくこのチームでした。

第2位
ソーラーパネル、どこへ置く?
http://2013.spaceappschallenge.org/project/where-to-put-solar-panels-/
過去30年の衛星観測データから、雲の影響の少ない場所を表示。太陽光発電を効率的に行う判断材料にする。

第1位
Personal Geo Cosmos
http://www.ustream.tv/recorded/31755909/highlight/347105
http://www.slideshare.net/TsubasaYumura/personalgeocosmosspaceappstokyo20130421
http://2013.spaceappschallenge.org/project/personal-geo-cosmos/
地球や惑星のデータをデスクトップサイズの球に映し出すプロジェクト。
プロジェクター、魚眼レンズ、半透過球で構成されます。
プロジェクターの映像を球にマッピングさせるために、魚眼レンズに通して拡散させている他、
映像自体の座標変換も行なっています。


■Personal Geo Cosmos
実は、この Personal Geo Cosmos は、僕がアイデアソンで発案して結成されたチームなのです。
アイデアソンは、日本科学未来館の「Geo-Cosmos」という巨大な地球ディスプレイの真下で行われていました。
もともと、プロジェクションマッピングで惑星のデータを映すものを作りたいと思っていたのですが、
Geo-Cosmos にインスピレーションを受けて「Geo-Cosmosをお部屋に置く」をコンセプトにするアイデアを思いつきました。

全体像はハッカソン前に決まっていたものの、具体的に各部品をどうやってつくるかは全く決まっておらず、
前日に東急ハンズに駆け込んで、使えそうな材料をかき集めてきました。
ハッカソン当日の開発も、どういう風にすればうまく映るか試行錯誤しながら進めていきました。
半透過球をつくるために、透明な塩ビの球にトレーシングペーパーを貼ったのですが、
そのトレーシングペーパーは当日に東大生協で調達しました。もし閉まってたらアウト。
魚眼レンズを固定するために使用したクリップも、たまたまメンバーが持っていたものでした。
最終的な形が完成したのは、開発終了時間の5分前。本当にギリギリでした。
でも、ギリギリまで粘ったおかげか、満足の行く出来になりました。
地球の画像はもちろん綺麗ですし、Mars Global Surveyor が取得した火星の高度データを映すととても色鮮やかでした。

審査結果発表では、何かひとつでも賞を取れるといいなーと思っていたのですが、
入賞発表で2位まで選ばれなかったときは、
「あぁ、ダメか。。。」と諦めモードでした。
 なので、1位の発表の瞬間は、すごく嬉しかったです。
また、審査員や参加者の皆さんが、「すごい」「欲しい」と言ってくれたのが嬉しかったです。

Personal Geo Cosmos の完成形や、開発の様子の写真はこちらにまとまっています。
http://www.flickr.com/photos/77454686@N07/


■グローバル審査
冒頭のISACの概要紹介で、このハッカソンは「世界各地で」行われていると説明しました。
この各開催都市の上位2チームが、グローバル審査へと進出するシステムになっています。
東京から、2位のソーラーパネルチームと、1位の我々のPersonal Cosmos(※4)
がグローバル審査に進み、
全134チームで、6つのグローバルアワードのための審査が行われました。
審査員の審査によって決められる賞の他、Twitterでの投票によって決められるものもあります。

ハッカソン終了後、グローバル審査まで約1週間の準備期間があるのですが、
プロジェクトのブラッシュアップの他、動画の撮影と編集、プレゼン資料の英語化など、やることがたくさんあります。
ハッカソンの2日間での開発も相当タイトでしたが、グローバル審査の準備もそれに負けないくらい厳しいものでした。
もちろん楽しかったのですが。

グローバル審査の結果、東京の2チームはともにHonorable Mention(佳作)としてBest 36 に選ばれました!
ですが、グローバルアワードは逃したので、来年こそは東京からグローバルアワードを獲得するチームを出したいですね。

※4 グローバル審査に向けて名称を変更しました


■その後
グローバル審査の結果発表をもって、2013年のISACは終了したのですが、
その後もいろいろな方面で活動を続けているチームもあります。
Marsface プロジェクトは、ACE というコンピュータエンタテインメント系の国際会議に投稿し、
なんと採択されました。
オランダで11月に開催される会議にて発表されます。
11月に開催されるG空間EXPOのジオアクティビティフェスタというイベントには、
ソーラーパネルチームとPersonal Cosmosが出展します。

Personal Cosmosは、Maker Faire などのモノづくり系のイベントにて何度か出展を行っており、
11月のMaker Faire Tokyoにも出展する予定です。
大変ありがたいことに「欲しい」という要望をいろんな方から頂いており、
その声に答えるべく、製品化に向けた開発を進めています。
いつか、科学館のお土産コーナーの片隅に置かれることを夢見て。

Personal Cosmosの活動は、以下のFacebookページにて報告していますので、
興味のある方はぜひ いいね!を押してください。
https://www.facebook.com/PersonalCosmos



最後に、ISAC Tokyo はボランティアの事務局スタッフによって運営されています。
スポンサーから運営資金を募ることで、参加費無料にて開催してきました。
今年は、企業スポンサーに加え、クラウドファンディングによる個人スポンサーからの支援も頂きました。
https://readyfor.jp/projects/SpaceApps2013
ハッカソンやアイデアソンの会場もご厚意にてご提供いただきました。
ご支援ご協力いただきました皆様には、感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

来年の話はまだ何も決まっていませんが、きっと開催されるだろうと思っているので、
これを読んで ISAC に興味を持った方、ぜひ来年の参加を検討してみてください。
事務局スタッフとしてお手伝いして頂ける方や、スポンサーとしてのご支援もお待ちしています。
質問等があれば @yumu19 までぜひご連絡ください。


関連記事
.@spaceapps に参加して #personalcosmos で1位受賞しました #spaceappstokyo - yumulog | 社会人博士の日記
http://yumulog.hatenablog.com/entry/2013/05/06/165338

ISAC Tokyo 公式サイト(Tumblr)
http://tokyo.spaceappschallenge.org/

NASAJAXAのデータ活用、宇宙アプリのハッカソン、44カ国で8200名が参加 - INTERNET Watch
http://internet.watch.impress.co.jp/docs/event/20130422_596950.html

International Space Apps Challenge 2013,開催
──グランプリは「Personal Geo Cosmos」:レポート|gihyo.jp … 技術評論社
http://gihyo.jp/news/report/2013/04/2501

*1:宇宙科学研究所JAXA相模原キャンパス