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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

情報科学若手の会に参加してみて


情報科学若手の会という合宿形式のイベントに参加してきました。


「若手の会は帰ってからブログ/ツイートするまでが若手の会です」


ということなので、今年の若手の会を完了させるために参加した感想などをまとめました。

参加の動機

今回は初参加でした。このイベントをどこでみつけたのかはもう忘れましたが、おそらく誰かがツイートしていたのを見かけたとかだと思います。参加の動機は @ さんや @ さんのお話を聴きたいとか、いろんな分野の話を聴きたいというのがもちろんあるのですが、最大の動機をひとつ挙げると

「知り合いを増やすこと」

もともと修士までは異分野だったので、情報系分野の知り合いがあまりいませんでした。「この先、この分野でやっていくならこのままじゃダメだよなー。知り合い多いに越したことはないよなー」と常々思ってました。この、知り合いを増やすというのは、大学院の社会人博士コースに入学しようと思った動機のひとつにもなっています。

参加してみて

実際に参加して、いろんな方とお話することができて、面白くて貴重な話をたくさん聞けました。結果的に参加者の皆さんとも仲良くなれたかなと勝手に思っています。人生何があるか、どこで縁があるかわからないので、もっとこういう場に出ていこうと改めて思いました。


イベント終了後もTwitter等で簡単に繋がりを維持できることは今の時代に生まれた大きな利点だと思っていますし、若手の会でご一緒させて頂いた方々はきっとまたどこかでお会いするんだろうなあという気がします。関東の方も多いですし。よろしくおねがいします。


某方が「(若手の会は)いい意味で出会い系」という名言を残されましたが、本当にそのとおりだと思います。私にとっては出会い系です。もちろんいい意味で。

刺激を受けた

プレゼンはとても印象的で、一人ひとりとお話しした内容もとても面白くて、皆さんから刺激を受けました*1


@ さんはシリコンバレーのスタートアップで働いている方で、すごい具体的な話をいろいろとお聞きしました。シリコンバレーで働くことにめちゃくちゃ興味があったので、でもそういう人はいままで周囲にいなかったので、長時間捕まえていろいろ聞いちゃいました。とっても参考になりました。まだまだこれからもお世話になります。


@ さんは若くてめちゃくちゃ優秀な方で、1日5〜6時間コード書いてるという話や、実際に会期中に1時間ほどでサクッと bot を作ってしまうことにすごいなーと感じました。


私も何かモノをつくることは好きなのですが、特に最近はいろいろと自分の中で言い訳してなにも始められずにいたな、と反省しました。TwitterbotArduino を使って作りたいモノなど幾つか温めている(=放置している)ネタはあるので、計画的に少しずつにでも進めていければなあと改めて思いました。作り始めれば楽しくなるのはわかっているので。

話足りなかったこと

やはり時間は有限なので、正直もっと話したいということはたくさんありました。そのなかで特に個人的に興味を持ったトピックについてここに書いてみました。

情報科学情報工学の違いについて - @ さんの疑問に関連して

理学(科学)と工学の違いについては、就職したときに環境がガラっと変わっていろいろ考えたり悩んだりしてきました。理学は解明することが目的、工学は創出することが目的。など、いろいろ表現の仕方はあると思います。
また、理学と工学ははっきりと二分されるものではなく、連続的なものだと思っています。さらに、時代によっても変化するものだと思っています。理学的研究である程度明らかになったものが工学的研究に活用されることは自然な流れです


情報科学情報工学の違いについても基本的には上記と同じだと思います。ただ、そういえばきちんと情報科学情報工学の違いについて考えたことはないなと気づきました。今自分は工学をやっているとおもっていたけれど所属しているのは情報科学研究科なんですよね。


これってちゃんと考えてみると結構難しい。まず、「情報科学科」という名前がついていたとしてもカリキュラムが情報科学にこだわって組まれているわけではないということ。実際、日本の大学で情報科学情報工学をそれぞれ別の学科/専攻で持っているところはあまり多くなく、情報系の学科や研究室を大学内にひとまとめにしているところが多いと思います。Wikipedia 先生で「情報科学科」を見てみても、「情報工学科」に転送される始末。

なので、少々乱暴ですがあまりこだわらずに単なる名前だと思うくらいでいいのではないでしょうか。


違いを知るには、情報系の学科を複数配置している大学をみるといいかと思います。例えば、東京大学では情報系の学科として理学部の情報科学科と工学部の電子情報工学科や計数工学科などがあります*2

それぞれの学科にある研究室を見るとなんとなく「情報科学(情報工学)っぽいなぁ」というのが見えてくるんじゃないでしょうか。


あとは、工学部でも科学的(基礎的)な研究をやろうと思えばできるし、その逆も然りなので、自分のやりたい方向が定まっているならば研究テーマの選び方次第で方向を矯正することもできると思います。情報系に限らずですが。

電磁気学は難しい - @ さんの発表に関連して

私も修士までプラズマの研究をやっていたので、当時は毎日電磁気学とお付き合いしてました。というのと、教育にずっと興味を持っていて、高校理科の教員免許を持っていて実際に教育実習で物理(電磁気ではないですが)を教えたりしたこともあります。


そこで、電磁気学をなんとかわかりやすくできないかなと思ってました。講演で仰っていたとおり、電磁場は眼に見えないものを扱うということがネックだと思うので、そこを

 電磁気学×教育×情報科学

で解決できないだろうかと考えていました。例えば、電磁場を AR を使って可視化して実験などを行うことが出来れば、ある程度は力学等と同様に視覚的情報が直感的理解を助けるのではないかと考えています。


ちなみにプラズマの研究者は、磁力線をみるだけでイオンと電子のサイクロトロン運動の軌道を脳内で描きます。脳内ARみたいなものですかね。

最後に

参加者の皆様、いろいろとお話させて頂いてありがとうございました。そして、幹事の皆様、企画、運営、準備等々いろいろと大変だったかと思います。本当にありがとうございました。


来年もぜひ参加したいです!来年には AR 関連の開発話とか、大学の研究の CPS 関連の話とか、いろいろと提供できるかなーと思います。


では、きっとどこかでまた会うのでよろしくお願いします!

関連図書

会期中にツイートした以下の3つの本を改めてご紹介。


ライフログに興味がある方へ


「世界で一番使われている言語は下手な英語」に興味がある方へ

世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術

世界のグロービッシュ ─1500語で通じる驚異の英語術


料理好きな方へ

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

Cooking for Geeks ―料理の科学と実践レシピ (Make: Japan Books)

*1:[twitter:@hoimei] さんからは物理的な刺激も受けました

*2:それでも大学院では「情報理工学研究科」としてマージされちゃうのですが