なぜ、大企業の給与は高いのか。それは、大企業がいいビジネスモデルを持っているからである。
会社とビジネスモデル
会社は、ビジネスモデルを持っている。
ビジネスモデルというのは、「どうやってお金を稼ぐか」である。
会社は、ビジネスモデルを持っているからお金を稼ぐことができる。
ただし、お金を稼ぐためには、ビジネスモデルをただ持っているだけではダメで、ビジネスモデルを回さなくてはいけない。
ビジネスモデルを回すためには、人が必要である。なので、会社は人を雇う。
いいビジネスモデルと悪いビジネスモデル
同等の能力の人間が同等の業務を行っても、大企業と中小企業では給与が異なる。それは、大企業が「いいビジネスモデル」を既に持っているからである。
いいビジネスモデルの条件とは
- 利益率が高い
- 参入障壁が高い
- 市場が大きい
- 永く続く
- 少ない人数で回せる
- etc...
電気・ガスなどのインフラ会社は給与が安定して高いと言われる。これは、生活に不可欠なインフラをほぼ独占的に販売するという、極めていいビジネスモデルを有しているからである。
家電機器の製造は、かつては高い技術力が必要とされる市場で、日本の電機メーカー勢にとっていいビジネスモデルを確立してきた。しかし、近年は半導体部品の組み合わせでつくることができ、参入障壁が下がってしまい、価格競争力が勝負の市場になっている。利益率は低いが回すのに大人数が必要という、あまり良くないビジネスモデルになってきている。
また、大学や研究所は、直接はお金を稼いでいないが、研究の成果に応じて国から研究費を獲得することができる。この研究費の大元は税金から捻出されている。つまり、人類の科学技術の発展に貢献した対価として、お金を得ている。これも一種のビジネスモデルといえる。
いいビジネスモデルをもっている会社は、なぜ給与が高いのか
会社から支払われる給与は「労働の対価」とされる。そのため、ひとりの人がひと月働いたら、20〜40万くらい貰えればまあ妥当かな、などと考えてしまう。しかし実際はそうではない。給与は「会社が稼いだお金の山分け」なのだ。つまり、「ビジネスモデルを回した対価」なのだ。
なので、いくら労働に勤しんでも(ビジネスモデルをひたすら回しても)、そのビジネスモデルがしょぼければ会社はいっぱい稼ぐことはできない。会社が儲からないので、山分けした給与は低くなる。
利益率が高い、市場が大きいといういいビジネスモデルであれば、少し回すだけでも稼ぎは大きい。少ない人数で回すことができれば、分母が小さくなるため分け前は多くなる。
給与は、労働で決まるのではなく、ビジネスモデルで決まる。
ビジネスモデルを「生む」仕事と「回す」仕事
会社員の仕事は「新たなビジネスモデルを生み出す仕事」と「既に持っているビジネスモデルを回す仕事」に大きく二分される。そして、前者の仕事に従事するのは上級の管理職や、企画部門、研究部門くらいである。会社員のほとんどは後者の仕事に従事することになる。
「会社でやりたい仕事ができない!」というとき、やりたい仕事が新たなビジネスモデルを生み出す類のものであれば、ビジネスモデルを回す側から生み出す側に移らなければいけない。具体的には
- 偉くなる(会社での地位を上げる)
- ビジネスモデルを生み出す部門に所属する
- まだビジネスモデルを模索しているベンチャー企業に入る
- 起業する
のいずれかを選ぶことになるだろう。
ビジネスモデルで会社を選ぶ
就職活動では大企業に人気が集まるが、その理由には「給与が高い」「安定している」「休みが多い」というものも含まれるだろう。会社を選ぶということは、知らず知らずにビジネスモデルを選んでいる。ビジネスモデルが優れていれば、給与も高く、休みも多い。であれば、もっと意識的にビジネスモデルに着目し、いいビジネスモデルを持つ会社を探しだすとよい。
面接では、なぜその会社を選んだのかがほぼ必ず質問される。その時、「御社の社風に惹かれて」という曖昧で不明瞭な回答をするよりも、「御社のビジネスモデルに惹かれて」と答えたほうが100倍説得力ありそう。その時、面接官がどういう印象を持つのかは知らない。
まとめ
「会社はビジネスモデルで回っている。」
ごく当たり前の事ですが、ビジネスモデルを中心に考えると分かりやすいでしょ、ということで書いてみました。だいぶ大げさに書いている自覚はありますw