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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

経営の行動指針


経営の行動指針

経営の行動指針


この表紙の本を電車内で読んでたらインパクトあるよなー。。。カバー付けて読めばよかった。


IHI東芝の取締役、そして経団連会長を務めた土光敏夫氏の考えを、100の言葉でまとめた本。1970年初版という、40年も前に書かれた本だが、古さは全く感じない。2009年に新訂版も出ている。


経営の行動指針―土光語録

経営の行動指針―土光語録


この本、というか土光敏夫という人物が素晴らしい。ひとつひとつの言葉の内容が素晴らしいのはもちろんだが、それだけなら他のビジネス書にも同様のことが書いてあるだろう。この本の素晴らしいところは、ひとつひとつの言葉が重く、力強いことだ。


ひとつの言葉について、見開き2ページに収まるように説明している。本質をついた言葉と、簡潔で無駄のない説明。分かりきったことをくどくどと説明せず、「あとは言わなくても分かるよね」という形で終わっている。言葉は、かなり強く、ときに命令口調で書かれている。それを不快と感じないのは、土光敏夫という人物の経歴と積み重ねた経験がなせる技なのかもしれない。


短くまとまっているためとても読みやすいので、他のビジネス書を1冊読む代わりにこの本を読むことをお勧めしたい。


特に感銘を受け印象に残った言葉を、以下に抜粋する

問題を掘り起こし体当たりせよ。摩擦を恐れるな。頭がよくても問題や摩擦を避けていては組織は動かぬ

仕事の報酬は仕事である。そんな働きがいのある仕事をみんながもてるようにせよ

ひとりの上位者の判断が、ひとりの人間の一生を左右することがあってはならない

有能な部下をかかえて放さぬ者は、無能といわれてもしかたがない

部下は会社からの借り物にすぎない。

上司がその椅子にしがみついていたら部下は育たない。自分はいつでも転出できるように後継者を育てよ

研究所は一九八〇年*1のカレンダーをつるせ

業績が思わしくないときには、研究所も萎縮しがちである。足元の対策に追われ、手っ取り早く成果のあがる研究開発に転換する。この態度が、次の好況期に立ち遅れを招いてしまう。悪循環である。

私はこの会社にはいってみて、従業員の資質のよいことがすぐわかった。ところが、その資質がさっぱり働きになっていないこともすぐわかった。事業が順調なときには、サラブレッド(競走馬)のようにさっそうたるものだ。なんでも小奇麗に器用にさばいてゆく。ところがいったん不況に落ち込むと、サラブレッドの俊足は動かなくなってしまう。

*1:1970年出版なので、10年後の意