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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

イシューからはじめよ


イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」


以前書いたとおり、帯の「人生は何かを成し遂げるためにはあまりにも短い。」に惹かれて読んでみたのだが、著者の安宅和人(id:kaz_ataka)さんの経歴をみてすぐにますます惹かれた。

東京大学大学院生物化学専攻にて修士号取得後、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。4年半の勤務後、イェール大学・脳神経科学プログラムに入学。平均7年弱かかるところ3年9ヶ月で学位取得(Ph.D.)。2001年末、マッキンゼー復帰に伴い帰国。


仕事を辞して研究の道を選び、そして学位を修めてビジネスの道に戻った。非常に興味深い経歴で、このような経歴を持つ方が、どういうことを考えているのか興味をそそられた。(残念ながら本書の本題はそこではなく、詳しくは書かれていないが。)


本書は、通常のビジネス本よりもより一歩踏み込んで物事の本質に迫る内容が書いてあり、あらためていろいろなことに気付かされた。


各章のとびらには科学者の言葉が添えられており、科学者を志した一面が垣間見えるとともに、これもまた本質的な言葉が並んでいた。

一人の科学者の一生の研究時間なんてごく限られている。研究テーマなんてごまんとある。ちょっと面白いなという程度でテーマを選んでいたら、本当に大切なことをやるひまがないうちに一生が終わってしまうんですよ
利根川進


ビジネス書を数冊読んで学ぶことが少なくなってきた方はぜひ読んで欲しい。

おまけ:コンサルのお仕事

コンサルティング会社には優秀な人が多いというイメージがあり、実際に優秀な人を集めているのだろう。コンサルの仕事内容を詳しく知らないのだが、コンサルという仕事が優秀な人を惹きつける所以は、金銭報酬の他に、魅力的な仕事内容があるはずだ。本書には

業界に精通した専門家をたくさん抱えているはずの一流の会社が高いフィーを払ってコンサルタントを雇うのは、自分たちは知り過ぎているが故に、その世界のタブーや「べき論」に束縛されてしまい、新しい知恵が出にくくなっていることが大きな理由のひとつだ。


という記述があるが、コンサルが優秀な人を惹きつける理由はこれだけではよくわからない。コンサルの仕事をもっと詳しく知りたいと思った。