ホームレス博士 派遣村・ブラック企業化する大学院 (光文社新書)
- 作者: 水月昭道
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2010/09/17
- メディア: 新書
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「高学歴ワーキングプア」の続編。博士号をとってもパーマネントな職を得られない博士の現状が詳しく紹介される。今のアカデミックなポストの体系が、教授・准教授が多く助教が少ない逆ピラミッド型になっていることからも、いびつな状態にあることがわかる。まあ大学に限らず、日本型企業の現状もこれと同じことが言えるのだろうが。
本書の最後の方に、次のようなことが書かれている。大学院(特に博士課程)は(アカデミックな研究者としての)トップスター養成機関になっている。トップスターになれなかったものは落ちていくだけという仕組みは問題である、と。
全くその通りだと思う。
博士号を取っても就職できない問題が「自己責任」か「制度の問題」か、というのは場合によるので一概には言えないものではあるが、簡単に「自己責任」と片付けるのはやはり短絡的すぎる。そもそも大学院重点化は日本の技術力向上を目指していたはず。アカデミックに限らず、民間で活躍できるようなキャリアパスを大学側でも意識されるべきなのであろう。