結論から言うと、大事なことは以下の2つ。
- 手が止まったら頭を動かす
- 頭が止まったら手を動かす
手が止まったら頭を動かす
手が止まった(執筆作業が進まなくなってきた)時にがんばって手を動かそうとしても、やっぱりなかなか進まず、集中力はどんどん落ちていく。そしてさらに進まなくなるという悪循環に陥る。手が止まったら一旦筆を休めて頭を動かそう。
ノートに何か書く
書こうとしている文章の内容を箇条書きやツリー構造にして整理してみる、考えていることを絵にしてみる、等。一度執筆から離れて頭を整理すると全体像が見えてきて、今どこで止まっていて何が足りないのかわかり、書きやすくなる。
人と話す
前の会社で報告書を書いていた時のこと。測定と分析は終わっているのに、何をどう書けばよいかわからず1週間くらい全然進まないことがあった*1。で、どうしようもなくなって先輩に相談しに行った。困っていることを説明しようと状況を話していたら、それだけで頭が整理され、アドバイスを貰う前に自分の中で解決してしまった。ということがあった。
話す、特に説明するという行為はものすごく頭を使っている。人と話すと、黙るわけにはいかないので、何かしゃべるためにとにかく考える。手が止まったら、誰か(できれば専門用語が通じない人の方がいい)をつかまえて、今どんなことを書こうとしているか説明してみるといい。
頭が止まったら手を動かす
大学1年の時、物理の先生が「わかんなかったら手を動かせ」「手で解く」とよく言っていた。これは、とりあえず数式を書けばそれを変形していきたくなるし、それが間違っていたら途中で気づく、だからとにかくまず数式を書こう、ということ(たぶん)。
文章も同じで、まず書けるところを書いていると、書きながら何を書くべきかが見えてくる。イントロダクションとか実験の環境説明とかで書きたいところがあればそこをどんどん書き進めていけばいいし、それもなければ、図やグラフを貼り付けるとか、結果やデータを打ち込むなどの単純な作業をすればいい。
あと単純に、ページ数が増えると、安心感が得られる。これ結構大事。
環境を整える
2つだけと言っておいてなんだけど、環境を整えることもとても重要。
マルチディスプレイにすること
執筆中の多くの場合、実験結果だったりウェブサイトだったり何か見ながら書くことになると思うが、エディタとブラウザをウィンドウ切り替えて行ったり来たりするのはとても効率悪い。「執筆作業用」と「参照用」とでそれぞれ1枚ずつディスプレイを使うととても捗る。研究室や職場にディスプレイが余ってたら今すぐ使おう。無ければ買ってもらおう。私物が持ち込みOKだったり、家で作業できるなら、自費で買ってしまおう。今ディスプレイ安いし、お金で解決出来ることには惜しまず投資することを薦めます。
テキストエディタを複数立ち上げて書くこと
word で 文章書いたり、ブラウザのフォームで blog 書いてると、文章内を何度もスクロール行ったり来たりしないといけない。文章構造を直したい時も、コピー元とペースト先が離れていると、スクロールしなきゃいけない。スクロールしてると「あれ、今なにしようとしてたんだっけ」てことにもなったりする。その点、TeX はいいね。章や節ごとにファイルを分けられる(まさか1つの .tex ファイルに全文章を書いたりしてないですよね!)ので、同時に異なる箇所の文を見比べたり、節をまるごと入れ替えたりも容易にできるので。TeX おすすめだけど、 Word で書くなら、編集用と閲覧用の2つウィンドウを立ち上げるといいのかな。
まとめ
文章書きというのは思いっきりアジャイル*2なので、とにかく小さいサイクルを何度も回すことが大事。手が止まっているのに手を動かそうと頑張ったり、何を書けばいいかわからず悩んでいるのに考えることで解決しようとしても、なかなか進まず、集中力はどんどん落ちていく。とにかく止まらないことが重要。
なお、ここに挙げたのは「スムーズに」書く方法であって、いい文章を書く方法ではない。でも、いい文章にするにも、とにかくサイクルを回す(推敲を重ねる)ことが大事だと思ってる。できれば多くの人に見てもらう。あとは文章構成をしっかり考える事も大事だが、これも推敲を重ねる度に改善されていく。
文章書きって、職業にもよるけど多くの人がこれからの人生でおそらく何千時間と費やす作業なので、スムーズに書くコツは早めに見につけておきたい。
と、偉そうにいいつつ、自分も上に書いたようなことはまだまだ全然出来てないのですが。頑張ります。
タイトルには卒論・修論〜とつけましたが、D論はまだ書いたことがないのでわかりません。というか誰かD論の書き方を教えろください。
参考
現在のところ、あるまとまった知識を得ようと思ったらネットで検索するよりも本を読んだ方がコストパフォーマンスが高い。よくまとまっており、参考になる東大で学んだ卒業論文の書き方でも、本に比べれば断片的。
のだが、本を読む習慣がなくて1冊読みきる事ができないとか、いま夜中だし本買いにいけないとか、本全部読んでる余裕ないほど切羽詰っているとかでネットに頼らざるを得ない場合もある。そんなときは、ググッて自力で見つけるよりも、 id:next49 さんの 発声練習 のエントリやリンクを辿ったほうが10倍くらい便利。例えば
とか(これだけでも相当なリンク数だが)。
自分が卒論を書いていたときは、所属学科の先生のページ
をとにかく読んで参考にしていた。たぶんこの本にまとまっているのだと思う(読んでないけど)。
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卒論・修論に限らず文章の一般的な書き方を身につけたいなら、以下の本が超オススメ。
文章の7つの要件。
1. 意見 あなたが一番言いたいことは何か?
2. 望む結果 だれが、どうなることを目指すのか?
3. 論点 あなたの問題意識はどこに向かっているか?
4. 読み手 読み手はどんな人か?
5. 自分の立場 相手から見たとき、自分はどんな立場にいるか?
6. 論拠 相手が納得する根拠があるか?
7. 根本思想 あなたの根本にある想いは何か?その中でも、特に基本になるのが「意見」「論点」「論拠」の3要件。
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