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北海道の大学教員/情報科学研究者の日記

2018年に読んだ本

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2018年は16冊読んだようです(「エンジニアの知的生産術」は2018年に発売されたのですが、出版前のレビューでその前年に読みました)。あとは読みかけの本が3冊ほど。

昨年よりは増えたなー。これまで学んでこなかった分野の教科書的な本を読むことが増えた。

振り返ってみると、昨年読んだのは良い本が多かったな。特に、『ハードウェアのシリコンバレー深圳」に学ぶ』『ハードウェア・ハッカー』『メカ屋のための脳科学入門』がめちゃくちゃ面白かった。

2018年の振り返りと2019年に向けて

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あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

研究

研究のお仕事をしているので当たり前なのですが、今年も研究メインの1年を過ごしました。研究活動は、学会などに参加した等のイベントがないとSNSにほとんど投稿しないのであまり研究していないように見られがちな気がするのですが、実際は大部分の時間を研究して過ごしています。いや、研究以外のお仕事もたくさんあるか。

今年も昨年に引き続き、Bluetoothエミュレータの研究をやってました。昨年投稿したpaperがPerCom Workshopに採択され、3月にアテネで発表してきました。

また、このエミュレータを活用したBLEビーコンアプリケーションの検証支援システムを構築し、昨年から目標にしていたUBICOMPのデモ発表に投稿して採択されて発表を行いました。

フルペーパーではなくワークショップとデモではありますが、IEEEACMユビキタスコンピューティング系トップカンファレンスPerComとUBICOMPの両方で第一著者で発表・参加することができました。これは毎年達成したい目標なので継続していきたいです。(と言いつつ次のPerComは何も出せなかったので早速途切れるのですが。。。) その他、4回の展示(Interop Tokyo,、NICTオープンハウス、CEATEC、G空間EXPO)を行いました。G空間EXPOではGeoアクティビティコンテストへの応募として作品展示を行い、測量新技術賞という賞を頂きました。

と書くと順調っぽいのですが、その一方で上手くいかなかったこともあります。もともと3月には投稿予定だったジャーナル論文をうまく書き上げることができず、投稿が延び延びになって、8月になんとか投稿しました。とほっとしたのも束の間、リジェクト判定となり、修正して12月に再投稿しました。そして、もう1本別のネタの国際会議論文投稿を年明け直後に抱えてたりします。。。

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教育

自分もまだ学生の延長戦的な身分でありながら、修士学生の指導(メンター)をすることがだんだん増えてきました。今年3月に第一号の修了生を送り出し、今年度もまた別の院生を数名みてます。指導教員は別にいるので、完全に自由に指導方針を決められるわけではないのですが、院生のスキルを伸ばすことと、研究成果をあげてもらうことの両立を目指して試行錯誤しながら取り組んでいます。指導する側も、研究分野の幅を広げるとても良い機会になります(院生が論文を書いてくれればなお良い)

仕事

上記も仕事なのですが、それに加えて、NICTのデータベースにあるオーロラ画像や気象衛星画像などの宇宙関連データを使ったNICT SpaceHackというハッカソンを企画し、準備を進めています。これはまだ未公開情報なのですが、2/23(土)-24(日)に都内某所で開催されますので、興味ある方はぜひ予定を空けてお待ち下さい。トップダウンの仕事ではなく、ボトムアップでゼロから自主的に企画する仕事をNICTでやるのはほぼ初めてで、いろいろ大変なことがよくわかったのですが、マネージャークラスにならないと体験できないような仕事の進め方がいろいろ体験できたので良い経験にはなっています。

その他の活動等

2019年

さて、今年は、2010年から始まり9年にもおよぶ長い長い博士課程の戦いがついに終わりを迎えます。残り9ヶ月ほどとなりました。取得できてもできなくても今年9月に決着が付きます、そこがハードデッドラインなので。もっと詳細を書くと、6月に予備審査、7月に博士論文提出、8月に公聴会になるはず。「いつ博士取るの?」と聞かれたら「平成のうちに」と返してたけど、結局平成のうちに取れなかったな。博士論文執筆のために入所以来貯めてきた有給休暇をここぞとばかりに一挙に発動して、集中して書きたいと思います。これまでも研究を理由にいろんなお誘いやご依頼をお断りしてきましたが、今年はこれまでにも増してお断りすることになると思います。何卒ご容赦をm( )m

そして、その後のことは本当に何も決まってません。終わってからゆっくり考えます。取り組みたい研究テーマも手に負えないほどたくさんあるし、これまで以上に研究成果をあげてトップカンファレンスに挑戦していくのももちろんのこと、研究の社会実装にも取り組んでいきたいですね。国内外の研究室に短期滞在して武者修行しに行くというのもやりたいなと考えてます。テーマ的には、ユビキタスコンピューティング・IoT・テストベッドに研究の軸足を置きつつ、将来的には計算社会科学の方面にも広げていければなあと漠然と考えてたりします、完全に妄想段階ですが。ここ8年間以上ずっと頭の片隅を占めていた博士論文が片付けば精神的にも時間的にも余裕ができるんじゃないかと思うので、研究以外の、Maker FaireやMashup Awardsやアート展示に出す作品を全力でつくりたいし、神経科学の勉強もしたいし、サイエンスコミュニケーションの活動もしたいし、中国語の勉強もしたいし、などなどやりたいことが山ほどあります。有給休暇が余ってたら自分探しの旅にも行こうかな、とか妄想しつつ、2019年を乗り切りたいと思います。

つくばコネクトキャンプ2018(ニコニコ学会βサマーキャンプ改め)に参加しました。

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つくばコネクトキャンプ2018(ニコニコ学会βサマーキャンプ改め)に参加しました。楽しかった!!!!!!

Togetterはこちら

最近、脳と睡眠が自分の中でホットトピックなので、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)を訪問できてお話し聞けたのがとてもよかった。研究サポートスタッフを含めて研究環境がすごく良いことが伝わってきたし、広報をすごくしっかりされているのは国研の人として参考になった。 家庭用脳波計を安く作れないのかなーと最近ずっと気になっててそれを質問したら、まさにそれのスタートアップをIIISから昨年10月に立ち上げてた。知らなかった!

VR・HCI界隈で話題の筑波大学エンパワースタジオにも初訪問。身体を5mに拡張するBig Robotや世界最大のVRシステムLarge Spaceなど、スケールが大きすぎてすごかった。インパクトあって良いなあ。

アンカンファレンスでは、アカデミアと野生の研究について思ってたことを言語化できた気がしてよかった。世の中に解かなきゃいけない課題はたくさんあるので、本職の研究者だけだと手が足りないんだな。

あと、研究者が起業する話も、最近ぼんやり考えてることなので(それに、やるならつくばだよなーとも思ってる)、完全に俺得な話題でした。

ここ最近はいろんな人に「この先、何やるの?」って聞かれることが多く(今回もやっぱり聞かれた)、でもまだあんまり決めてなくていろいろ考えてる状態です。それを考える上でヒントになりそうな情報収集・整理が今回の合宿でけっこうできました。あと、三浦亜美さんが自己紹介で「多動」って言ってたのがすごく印象的でした、自分もこのタイプなので。それで気づいたのが、多動には、ガッとやってキチッと形にして(または見切りをつけて)からパッと移るのが大事で、同じいろんなことに手を出すにしても並行して長くやるのはあんまり良くないのかな。前者は完全にGOROmanさんを思い浮かべてます。

企画、準備をしてくれた江渡さんくとのさんはじめその他の方々、講師の方々、見学に対応して頂いた方々、そして参加者の皆さん、ありがとうこざいましたー!!

CHI勉強会2018北陸会場をJAISTで開催しました #chi2018j

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幹事として、CHI勉強会2018の北陸会場をJAISTで開催しました。

CHI勉強会は、Human-Computer Interaction(HCI)研究のトップカンファレンスCHIの全ての論文(今年は666本)を1セッション(4本程度)ずつみんなで手分けして読んで、スライドに要約して、丸一日かけて発表する会です。東京、北海道、関西、北陸と4拠点をテレビ会議にて接続して連携して開催します

北陸会場の開催は今年が初です。近くで開催されれば移動が楽というのもありますが、北陸圏でHCIを軸に横のつながりをつくる機会になればと思って企画しました。 石川に住んでちょうど3年半になり、たくさんの地元の研究者との繋がりはできましたが、北陸にはまだまだ多くの大学があり教員も学生もたくさんいるはずなので。

おかげさまで、初回にもかかわらずいろんな組織からたくさん参加して頂けました。ありがとうございました。発表者数は少なかったですが、これは初回だったため仕方ない面もあると思うので、今後も継続して開催していければと思っています。そのためにも、北陸圏の研究者の方々、ぜひ協力をお願いします。

勉強会の発表スライドはWebで公開されており、参加者に限らず誰でもダウンロードすることができます。HCI分野を俯瞰するのにはこれ以上無い非常に有用な資料だと思います。